新年あけましておめでとうございます!
東京国立博物館(トーハク)では、お正月にはその年の干支にあわせた特集展示を開催しています。
2022(令和4)年は寅年であることにちなみ、「博物館に初もうで 今年はトーハク150周年!めでタイガー!!」と題して虎を題材とした作品に着目します!
洒落のきいた展覧会タイトルは、新春とともに、トーハク創立150周年を勢いよく、そして、にぎやかにお祝いしたいという願いを込めたものです。
トーハク選りすぐりの虎たちが、本館特別1・2室に大集合しております!
本展では5つの章立てのもと、「神獣・仏教にかかわる虎」、「龍虎図」、「日本の勇猛な虎」、「アジアの多彩な虎」、「博物学におけるネコ科の虎」の各テーマにあった虎の作品を展示しています 。
はじめに、「神獣・仏教にかかわる虎」より、「白釉鉄絵虎形枕」をご紹介します。
白
釉鉄絵虎形枕 中国・磁州窯 金~元時代・12~13世紀 横河民輔氏寄贈 東京国立博物館蔵
古代中国より、虎は四神のうち、西方をつかさどる守護神とされてきました。
前足にあごを乗せ、うずくまる虎をあらわしたこの作品は、12世紀から13世紀の中国・磁州窯でつくられました。
なんとも愛らしい姿ですが、このような虎型の枕には魔除けの願いが込められ、さかんに製作されていたそうです。
虎が、信仰の対象であったことを伝えてくれる優品です。
「日本の勇猛な虎」には、本展のメインビジュアルにもなっている「陣羽織 白呉絽服連地虎模様描絵」を展示しています。
陣羽織
白呉絽服連地虎模様描絵(しろごろふくれんじとらもようかきえ)
江戸時代・19世紀 アンリー夫人寄贈 東京国立博物館蔵
見慣れない単語かもしれませんが、「呉絽服連」とは、とくに江戸時代に輸入された毛織物を指す言葉です。
この作品では、陣羽織の背面いっぱいに目を見開き威嚇する虎が、織りや染めではなく、直接筆で描かれています。
太平の世であった江戸時代に戦乱はありませんでしたが、一方で、陣羽織は武士のステータスを象徴する衣装になったのです。
まさに、武士の地位に、虎の勇猛さをなぞらえた作品と言えるでしょう。
最後に、「アジアの多彩な虎」より、19世紀・朝鮮時代の「紋章(胸背)」 をご紹介します。
紋章
(胸背) 朝鮮時代・19世紀 東京国立博物館蔵
中国の制度にならって、朝鮮王朝では官僚の服の胸と背中に、その人の階級を示す正方形の徽章をつけていました。
このような虎は、武官に許された文様でした。
しかし、虎といっても、身体の模様は縞ではなく斑点となっており、豹にも近しい特徴です。
当時の朝鮮では、虎と豹の表現を区別していなかったと考えられ、まるで2種類がかけあわされたかのようなユニークな姿となっています。
世界でどのように虎が捉えられ、表現されていたかがわかります。
このほかにも、勇ましい虎、愛らしい虎、リアルな虎など…四方八方虎づくしです!
最後の章「ネコ科」にも、ぜひご注目ください。
みなさまにも「めでタイガー」な一年が訪れますように、魅力あふれる虎たちとともにお待ちしております。
カテゴリ:博物館に初もうで
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posted by 沼沢ゆかり(保存修復室) at 2022年01月05日 (水)