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小林斗あん氏寄贈中国印譜

  • 『集古印譜 顧従徳編 明時代・万暦3年(1575)』の画像

    集古印譜 顧従徳編 明時代・万暦3年(1575)

    東洋館 第8室
    2006年10月31日(火) ~ 2006年12月27日(水)

     東京国立博物館は、2002・2003の両年度にわたって小林斗あん(庸浩)氏ご愛蔵の中国稀覯(きこう)印譜および篆刻(てんこく)資料、都合423件のご寄贈を受けました。

      小林斗あん氏は、尖鋭な刀法を駆使した緻密な作風をよくする篆刻家として、わが国書壇における指導者的役割を果たされ、現在も意欲的な創作活動に取り組まれておられます。一方、文字学・印学への造詣も深く、早くから多くの論考や著作を発表されてきました。その知性に裏付けられた洗練を極めた作風は、広く江湖(こうこ)の喝采(かっさい)を博し、公印として用いられるものや文壇・芸苑(げいえん)の著名人の所用となるものが少なくありません。それらの功績によって、小林氏は1993年に日本芸術院会員、1999年には文化功労者に推挙され、2003年には中国・西れい印社名誉副社長に就任、2004年には文化勲章を受章されています。

      中国における印譜の歴史は、宋代に遡り、明代に入ると実際に原印を手押しした原けん印譜が刊行されるようになります。歴代の主要な印譜を網羅する小林氏のコレクションは、その多くが製作部数の少ない原けん本で、しかも編者自らが注記を書き加えた本地中国でも見ることのできない稀覯本が多数含まれています。館蔵の漠南(ばくなん)文庫に、小林氏のご寄贈品を加えて、当館の印譜は質量ともに内外屈指のものとなりました。

      ここに、小林斗あん氏の高いご見識とご好意に深甚の敬意を表し、ご寄贈の印譜を展示いたします。

主な出品作品

*すべて小林斗あん氏寄贈の当館蔵品です。
集古印譜 顧従徳編 明時代・万暦3年(1575)
宝印斎印式 汪関編 明時代・万暦42年(1614)
十鐘山房印挙 陳介祺編 清時代・光緒9年(1883)
陳ほ斎手注印譜 陳介祺編 清時代・光緒10年(1884)
十六金符斎印存 呉大澂編 清時代・光緒17年(1891)
飛鴻堂印譜三集 汪啓淑編 清時代・18世紀