東洋館 第3室
2007年11月20日(火) ~ 2008年1月27日(日)
近年、東京国立博物館では、350件余りからなる古代ガラスコレクションの寄託を受け、整理研究を続けています。それらは地中海東部から中央アジアに至る広い地域で出土した容器・装身具・その他の器物です。今回、その中から35点の容器類を選び展示します。
ガラスの製作は紀元前23世紀頃、メソポタミア(現在のイラク)で始まり、その後、地中海東部でも行われるようになりました。初期のガラスは色が鮮やかな宝石として扱われ、凝った製品が富裕層のために作られました。
ローマ時代(紀元前2世紀頃)の地中海沿岸では、「熱垂下法(ねつすいかほう)」、「吹き技法」による比較的安価なガラス器が普及します。
ところが、ササン朝時代(3~7世紀)のペルシアで「切子(きりこ)」の高度な技術が発達すると、ガラス器は再び宝石としての地位を回復します。美しく輝く切子ガラスは、シルクロードを経て遠方にも輸出され、日本まで運ばれたものもあります。東大寺正倉院の白瑠璃碗(はくるりわん)はその一例です。