本館 特別1室・特別2室
2025年9月30日(火) ~ 2025年11月9日(日)
平安時代の武士、源 頼光と配下の四天王たちが、酒呑童子という鬼を退治する物語は、多くの美術作品に取り上げられてきました。きっかけは室町時代後期、狩野 元信が描いた絵巻です。以後、狩野派はもちろん、多くの絵師たちがこの物語を描いてきました。この特集は、 多くの人びとに愛好された「酒呑童子のものがたり」を 描く作品を紹介するものです。
はじめに、安土桃山時代から江戸時代の初め頃、当時の絵画界のトップにあったともいえる、狩野孝信筆と伝わる絵巻から、「酒呑童子のものがたり」のダイジェス トを見ていきましょう。続いて、孝信とほぼ同時代、扇 に描かれた珍しい酒呑童子絵から、ストーリーの全貌をご覧いただきます。その上で、この物語で活躍する武士や鬼たちを題材にしたスピンオフ作品などから、酒呑童子絵を深掘りしていきます。
酒呑童子絵には、残酷で、血なまぐさい場面も多く描かれています。ただ物語をよく読むと、退治される酒呑童子側にも言い分があるようです。こうした矛盾を抱えながら、なぜこの物語は長らく愛されてきたのか。これらについても皆さんと考えてみたいと思い、この特集を企画しました。酒呑童子をめぐる造形世界をお楽しみください。