東洋館 5室
2022年9月21日(水) ~ 2022年12月4日(日)
当館所蔵の大谷探検隊将来の出土染織品をご紹介します。裂(きれ)はガラス板に挟まれて保管されています。そのガラス面の付箋には、現在の中国・甘粛省敦煌(かんしゅくしょうとんこう)や新疆(しんきょう)ウイグル自治区トルファン(吐魯番)などの出土地が記されており、シルクロードに沿って発達したオアシス都市の染織文化をうかがい知ることができます。これらは吉川小一郎(よしかわしょういちろう、1885-1978)、橘瑞超(たちばなずいちょう、1890-1968)が率いた 、いわゆる第3次探検隊の収集品です。敦煌莫高窟(とんこうばっこうくつ)での収集品では仏教荘厳にかかわる染織品が、トルファン出土品では埋葬されていた被葬者の衣服残欠が多くを占めています。ほとんどが断片の状態ではありますが、6世紀から10世紀の染織品が残されていることは奇跡的なことです。
この特集では出土地別に裂を展示します。ひとつひとつの裂から読みとれる多彩な染織の技術や文様だけでなく、推定される当初の姿や用途にも注目します。ユーラシア大陸の東西をつなぐ要所として発展した当時の敦煌、トルファンの文化を感じていただきながら、大谷探検隊によって発見された古代裂の旅をいっしょにたどっていきましょう。