重要文化財 洛中洛外図屏風(舟木本)(部分) 岩佐又兵衛筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵
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洛中洛外図 舟木本 あなたがいちばん見たいシーンは? 投票結果
東京国立博物館 資料館 特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」関連図書コーナー設置
開催概要 |
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会 期 | 2013年10月8日(火) ~ 2013年12月1日(日) | ||||||||||||||
会 場 | 東京国立博物館 平成館(上野公園) | ||||||||||||||
開館時間 | 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) (ただし、会期中の金曜日および、11月2日(土)、3日(日・祝)は20:00まで、11月4日(月・休)は18:00まで開館) ※11月23日(土・祝)、24日(日)、11月27日(水)~12月1日(日)は20:00までご覧いただけます。(入館は19:30まで。11月29日(金)以外は総合文化展は17:00までとなります。) |
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休館日 | 月曜日 (ただし10月14日(月・祝)、11月4日(月・休)は開館、10月15日(火)、11月5日(火)は休館) |
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観覧料金 | 一般1500円(1300円/1200円)、大学生1200円(1000円/900円)、高校生900円(700円/600円) 中学生以下無料
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託児サービス |
会期中(2013年10月~11月24日)、託児サービスを実施します(事前予約制)。 |
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交 通 | JR上野駅公園口・鶯谷駅より徒歩10分 東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分 |
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主 催 | 東京国立博物館、日本テレビ放送網、読売新聞社 | ||||||||||||||
特別協賛 | タマホーム | ||||||||||||||
協 賛 | 光村印刷、日本興亜損保 | ||||||||||||||
協 力 | 全日本空輸、日本貨物航空、日本通運、JR東日本、BS日テレ、シーエス日本、ラジオ日本、J-WAVE、文化放送、テレビ神奈川、楽天トラベル、
京都市 |
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技術協力 | キヤノン、キヤノンマーケティングジャパン、JVCケンウッド、凸版印刷 | ||||||||||||||
カタログ・音声ガイド | 展覧会カタログ(2500円)は、平成館2階会場内、および本館1階ミュージアムショップにて販売しています。音声ガイド(日本語のみ)は500円でご利用いただけます。 | ||||||||||||||
お問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) | ||||||||||||||
展覧会ホームページ | http://www.ntv.co.jp/kyoto2013/ 展覧会公式サイトは会期終了時をもって終了いたしました。 |
展覧会のみどころ第1部 都の姿─黄金の洛中洛外図 本邦初!国宝・重要文化財指定「洛中洛外図屏風」全7件が一堂に 二条城から全84面の障壁画を一挙展示 |
第1部 都の姿─黄金の洛中洛外図京都の市中(洛中)と郊外(洛外)の景観を高い視点から見下ろして描いた「洛中洛外図」は、室町時代から描かれはじめ、江戸時代を通して数多く制作されました。そのほとんどが屏風絵で、四季が巡るなか、御所(皇居)をはじめ貴族や武家の御殿、名高い寺社、観光名所をとりあげて、そこに暮らす人々の生活を余すところなく描き出した風俗画です。 現存する「洛中洛外図屏風」は100点ほどが知られていますが、本展では狩野永徳が手がけた「洛中洛外図」の最高峰「上杉本」や岩佐又兵衛の「舟木本」など、国宝、重要文化財の7件すべてを展示します。 当時の都市景観を反映したこれらの「洛中洛外図屏風」は、美術的な価値だけでなく、建築史など、さまざまな分野でも高い資料的価値をもっています。 一方で、黄金の光をまとう「洛中洛外図」は、当時の現実の京都を描いたのではなく、それぞれの絵の注文主と制作者たちが夢見た京都を描いているともいえます。それらを対照しながら、かつての都を俯瞰してみましょう。 |
[全期間展示]
この屏風は滋賀県の医師・舟木氏がもとの所蔵者であったため、舟木本の名で知られています。左右の屏風を並べると7mほどの画面幅に、南からみた京都の景観を、東から西へ連続的に展開させ、鴨川の流れが左右の画面をつなぎます。右端には、豊臣秀吉が建てた方広寺大仏殿の偉容を大きく描き、左端には徳川家康が建造した二条城を置いて対峙させています。 左隻・2扇の三条大橋と高瀬川に架かる小橋が続くあたりには、祇園祭の風流が行きかいます。その先には南蛮人の姿もみえ、店先での商いや、街路をゆく芸能者などが通りをうめています。画面下方、東寺の堂内では僧たちが読経していますが、隅で若い人を抱きしめる僧の姿もみえます。 舟木本は、建物や人々をクローズアップして取り上げていることが特色です。熱気に溢れた京都の人々の生活の諸相をじっくりご覧ください。 |
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左隻2扇(部分) 「祇園祭」 |
右隻4・5扇(部分)「五条大橋」 |
牛若丸と弁慶が出会った場所として唱歌にも唄われた五条大橋。ここに描かれているのは、豊臣秀吉が建立した方広寺の大仏参拝のために新たに架けられた橋です。花見の宴が終わり桜の枝や扇、日傘をもった集団が、身をくねらせて踊りながら賑やかに橋をわたっていきます。酔いつぶれて二人に肩を担がれている男もいます。 橋下には薪を満載する高瀬舟が2艘並んで鴨川を上っていき、船頭が橋上の騒ぎに驚いて見上げています。喧騒が聞こえてくるようです。また、この橋から四条にかけての四条河原(画面左方)には、人形浄瑠璃、遊女歌舞伎など芝居小屋がひしめいて、人々の浮世への欲望が余すところなく活写されています。この五条大橋と周辺の情景は、画面中央あたりに大きく描かれた舟木本のハイライトといえるでしょう。 |
[展示期間:2013年10月8日(火)~11月4日(月・休)]
上京隻3・4扇(部分)「正月を迎える歳末の風景」 |
米沢藩主上杉家に伝わったもので、洛中洛外図の中でも最高傑作とされます。将軍足利義輝が日本を代表する絵師のひとり狩野永徳に描かせたもので、永禄8年(1565)に完成し、義輝没後に織田信長が入手して、上杉謙信へ贈ったと考えられています。将軍家と関わりの深い相国寺の七重大塔から眺めた景観を描いたともいわれ、金の雲間から尖った屋根をのぞかせる表現が特徴的です。貴族、武家の邸宅や寺院など京都のランドマークが数多く描かれ、登場人物も老若男女2500人近くにのぼり、重厚な金雲のあしらいや自然や建物の色感は華やかで、見る者に圧倒的な印象を与えます。 画面中ほどの小川通では、門松を作る年男が箸を使ってその先端に歳玉(餅)を備えるしぐさが事細かに描かれているなど、民俗的な資料としても興味深く、若き永徳の細密表現の技量の高さにも目を奪われます。 |
[展示期間:2013年11月6日(水)~12月1日(日)]
上京隻6扇(部分)「念仏踊りの風流」 |
三条公爵家から町田家に伝来し、三条本あるいは町田本ともいわれています。現存する洛中洛外図屏風のうち最古の作品で、1520年代から30年代ころまでの京都の景観が描かれており、応仁の乱後の京都を細密にあらわした資料価値が高い作品です。左隻は鴨川が左から右へ流れ、東山から比叡山、そして洛中下京の景観を四季の変化にそって描いています。画面中ほどに、祇園祭の山鉾が描かれ、右隻は北野天神、龍安寺、桂川、太秦から雪に覆われた上加茂社などを見渡すことができ画面中ほどに上京の町並みを描いています。通例の屏風絵とは違って、左から右へ春から冬へと季節が巡っていきます。また、金箔地を使わず金泥で霞が棚引くように装飾された画面は穏やかで、気品のある表現となっています。 |
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第2部 都の空間装飾─障壁画の美「洛中洛外図」で空高く俯瞰する視点から京都を眺めた後は、そこに描かれている建物のなかに入ってみましょう。展示室では伝統と権威の象徴である京都御所、世界的にも知られる禅宗寺院の龍安寺、そして徳川将軍家の権力を誇る二条城の3つの建物の室内を彩った障壁画をご覧いただきます。絵筆をとったのは、天下人、織田信長や豊臣秀吉に仕えた狩野永徳、そして徳川家康に仕えた狩野探幽など、画壇の頂点を極めた当代一流の絵師たちです。彼らはその絵によって、宮廷の伝統的権威を高め、信仰の場を荘厳し、武家の威光を示しました。本展では龍安寺の襖絵や二条城黒書院の障壁画を、当時の配置を生かしながら再現展示し、かつての京都の美的空間が甦らせます。 |
[全期間展示]
4面(17面のうち) |
南禅寺の大方丈(本堂)は、慶長16年(1611)に御所の建物を移築したものです。その室内を飾る襖絵は現存最古の御所の障壁画として極めて貴重です。 そのなかでも、傑出したできばえを見せるこれら「群仙図襖」は、狩野永徳によるものです。もとは天正14年(1586)に豊臣秀吉の命によって建てられた正親町院(おおぎまちいん)の仙洞御所(せんとうごしょ、譲位後に天皇が住む建物)のうち、対面所(主従関係のものが対面する儀礼の場)の飾る襖絵でした。安土桃山時代を代表する絵師永徳が一門を率いて、宮廷の最も格式高い宮殿を闊達な筆遣いで彩り豊かに飾っていたのです。 この襖絵には理想とされる神的存在として仙人たちが描かれています。図版は、鍾離権(しょうりけん)がその弟子、呂洞賓(りょどうひん)に仙術を伝授している場面です。 |
[10面ずつ展示替]
御所の正殿である紫宸殿は、即位や大嘗会(だいじょうえ)など朝廷の重要な儀式を行う最も格式の高い場です。その母屋と北廂(ひさし)との境に立てられる障子には、中央部分に一対の松と、獅子・狛犬が配置されて、その左右に中国古代の賢人聖人たち32人が描かれました。名臣たちは高御座(たかみくら、玉座)の背後に控え、天子はその徳を偲びます。 今に伝わるこの作品は、当時、宮廷の絵所預(絵師の長)も務めていた狩野孝信が、慶長期に建てられた紫宸殿のために、永徳亡き後、狩野一門を統率する絵師として、最も格式ある画題に腕を揮ったもので、力強い筆線と彫りの深い顔の表現が特徴的です。寛永18年(1641)、仁和寺に下賜された紫宸殿に設えられていた現存最古の賢聖障子絵です。 |
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1面(20面のうち)「仲山甫と太公望」 |
[全期間展示]
© The Metropolitan Museum of Art. Image sauce. Art Resource, NY |
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[全期間展示]
明治28年(1895)に龍安寺を離れて流浪の旅に出たのちに、平成22年(2010)、115年ぶりに帰還した襖絵6面を展示します。画像は、そのうちの4面です。メトロポリタン美術館蔵の列子図襖と同様、室中の間を飾っていたものです。 残りの2面には、従者が琴を持っている場面があり、メトロポリタン美術館、シアトル美術館に分蔵される「琴棋書画図襖(きんきしょがずふすま)」と同じ、室中の間の西隣にある上間南の間(檀那の間(だんなのま))を飾っていたことがわかっています。 |
[全期間展示]
二の丸御殿は江戸時代初期に建造された城郭のうち現存する唯一の遺構です。車寄、遠侍、式台、大広間、蘇鉄の間、黒書院、白書院という6棟が建ち並びます。 松鷹図は、大広間四の間の四周に描かれたもので、黄金を背景に滝から渓流が生まれ、長押を突きぬけて天井まで届くほどの太い幹枝の松には3羽の猛禽が止まっています。この画面(本展出品:西側の壁)では、狗鷲(いぬわし)がじっと左手をにらみ、岩に止まって振り返る角鷹(くまたか)と呼応しています。さらに南側の壁では、滝を背にした大きな松の枝先から獲物を狙うかのように蒼鷹(おおたか)が見下ろしています。 古来、鷹狩は支配者の権威を示すもの として行われ、とくに家康、家光は鷹狩を好みました。どっしりと根を下ろす松の大木とともに、落ち着いた風格の猛禽の姿は、戦国の世を終わらせた徳川将軍 家が絶対的な権威を揺るぎないものとしたことを絵によって端的にあらわしたものです。 |
[全期間展示]
黒書院は小広間とも呼ばれ、将軍が執務を行う部屋として使われました。また身分の高い公家や僧侶、御三家や親藩、譜代の大名たちとの謁見の場として使われた内向きの建物です。幕末、ここで大政奉還(慶応3年10月14日)の前日に、最後の将軍徳川慶喜が近臣へ自らの決意を述べたといわれています。 これらの絵は、狩野探幽の弟、尚信によるものです。桜花は胡粉(白色)を盛り上げて彩り鮮やかに咲き誇り、木々や水流が優雅な曲線を描くなかに、直線的な籬(まがき)があいまってコントラストを高めています。 本展では黒書院一の間、二の間を飾る障壁画69面すべてを展示して、武家建築の厳かな空間を再現します。厳粛でありながら優美で、そして激動の幕末期の舞台裏を彷彿させる空間を体験していただきます。 |
4面(全69面のうち) |
雌雉と若雉が遊ぶ庭に小川が緩やかに流れています。一の間にいる雄雉が鳴いて雌と呼応しています。この東面の壁の桜は今が盛りです。 |
[全期間展示]
二の間南面に描かれたこの桜は庭の桜よりも、少し時間が経っており、花びらが散って水流に漂っています。また、丸い緑の盛り上がった土がいくつか重なって遠くまで桜木が続いていきます。この襖絵の上には遠景として楼閣山水図が描かれていて広々とした空間を感じさせます。 |
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2面(全69面のうち) |
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