国宝 金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 平安時代・12世紀 岩手・大長壽院蔵
本館 2室
2017年4月11日(火) ~ 2017年5月7日(日)
『金光明最勝王経』十巻(唐・義浄(ぎじょう)訳)には、この経を広め、読誦(どくじゅ)して、正法によって国王が政治を行えば国は豊かになり、四天王などの諸天善神たちが国を守護してくれるということが説かれています。
本図はその『金光明最勝王経』の経文を、紺色に染めた紙に金泥で塔の形に書き写し、その左右および下方に経典の内容を表す絵を金銀泥と彩色で描いたもので、経文一巻分を塔最上部の相輪頂上から始まって基壇部で終わるように書写した全10幀のうちの2幀です。
お経の書写、仏像・仏画の制作、寺塔の建立、それらの荘厳が功徳になると様々なお経に説かれているので、平安貴族たちは美しく装飾したお経や仏像・仏画を盛んに作りました。本図では、一つで写経や造塔、造仏など、複数の功徳を積むことが期待されています。
本図は奥州藤原氏が奥州の安穏と守護を祈って制作を発願したと考えられています。10幀全体を通して北方守護の毘沙門天が重視されている点や、写経の場合の経巻見返し絵ではあまり用いられない、金銀泥と彩色を組み合わせる手法などに、奥州藤原氏独自の表現が示されているともいわれています。雅やかさの奥に切なる思いが込められた造形といえるでしょう。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 | 2幀 | 平安時代・12世紀 | 岩手・大長壽院蔵 |