国宝 秋冬山水図(部分) 雪舟等楊筆 室町時代・15世紀末~16世紀初
本館 2室
2015年12月15日(火) ~ 2015年12月23日(水・祝)
作者の雪舟は、禅宗寺院に所属しながら、絵画を制作した禅僧画家です。若い頃に京都の相国寺(しょうこくじ)で修行し、のち山口に移住し、守護大名の大内氏から支援を受けました。応仁(おうにん)の乱(1467~77)の直前に、外交使節に随伴して中国(明)に渡り、3年ほどで帰国し、その後は山口を拠点として活動しました。
この作品は右側に秋、左側に冬の景色を描いています。それぞれ画面の下端から見てゆくと、近いものから遠いものへ、モチーフを順にたどってゆくことができます。たとえば左側の冬景では、右下の船着き場から左方へ道が伸び、やがて旅人は右上から張り出す巨大な絶壁の下を歩み、楼閣に向かうであろうことが見て取れます。
小さな画面ですが、ここには広大で奥深い空間があらわされており、また雪舟以前の日本の山水画には見られない堅固(けんご)さ、理知的な構築性が強く感じられます。また、個々のモチーフを表現する線は、岩の肌を描く短く力強い線、雪山の輪郭を描くひょろひょろした線、カサカサした線、しっとりした線など、さまざまな味わいを示します。
雪舟は室町時代の水墨山水画の領域において、堅固な構築的空間を表現しえた稀有な存在です。雪舟は、中国・南宋時代の宮廷画家、夏珪(かけい)に由来する構図や筆法を駆使し、多くの山水画に活用しました。本図はその代表的な作例といえるでしょう。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 秋冬山水図 | 2幅 | 雪舟等楊筆 | 室町時代・15世紀末~16世紀初 | A-1398 |