TOP
 >> 展示
 >> 日本の考古・特別展(平成館)
 >> 特別展「写楽」

特別展「写楽」

特別展「写楽」
平成館 特別展示室   2011年5月1日(日) ~ 2011年6月12日(日)

  
重要文化財 三代目大谷鬼次の江戸兵衛 東洲斎写楽筆 寛政6年(1794) 東京国立博物館蔵

寛政6年(1794)5月、豪華な雲母摺りの役者大首絵28枚を出版して浮世絵界に突然姿をあらわし、翌年1月までに140点をこえる浮世絵版画を制作しながら、その筆を断って忽然と姿を消した東洲斎写楽。
作品が登場した時代の人々にとっても多くの刺激を与えていた単純化され誇張された表現は、現代に生きるわれわれの目にも新鮮な魅力に満ちています。本展は、その造形の魅力を解きほぐし、芸術的な特徴を明らかにすると同時に、写楽作品創造の源を探ります。

特別展「写楽」は、2011年4月5日(火)から5月15日(日)までの会期で準備が進められてきましたが、3月11日の東日本大震災にともなう諸情勢に鑑み、会期を変更しての開催となりました。節電のため金曜の夜間開館も中止いたします。また、震災の影響による諸事情で当初予定されていた作品が展示されない場合もございますが何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
被害の大きかった地域の皆様には一日も早い復旧がなされますことを心よりお祈りいたします。

※お買い求め済みの前売券などにつきましては、新しい会期中そのままお使いいただけます。


当初の会期
2011年4月5日(火)~5月15日(日)
変更後の会期
2011年5月1日(日)~6月12日(日)

 

会期中、作品の展示替があります。展示作品リストをご覧ください。

展示作品リストへ

1089ブログ「2011年度の特別展」 展覧会の見どころなどを紹介しています。

「写楽展 看板役者はだれ?」 投票結果

開催概要

会  期 2011年5月1日(日)~6月12日(日)
会  場 東京国立博物館 平成館 (上野公園)
開館時間 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
(ただし、会期中の金曜日は20:00まで、土・日・祝日は18:00まで開館)
会場の混雑状況(展覧会ホームページへリンクします)
休館日 2011年5月16日(月)、5月23日(月)
観覧料金 一般1500円(1300円/1200円)、大学生1200円(1000円/900円)、高校生900円(700円/600円)
中学生以下無料
( )内は前売り/20名以上の団体料金
障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
前売券は、東京国立博物館 正門観覧券売場(開館日のみ、閉館の30分前まで)のほか、電子チケットぴあ(Pコード=764-391)、ローソンチケット(Lコード=32902)、 イープラスなど主要なプレイガイド、および展覧会公式ホームページ上のオンラインチケットにて、2011年4月30日(土)まで販売中。前売券の販売は終了しました。
早割ペア券(2000円)は、東京国立博物館 正門観覧券売場(開館日のみ、閉館の30分前まで)のほか、チケットぴあ(Pコード=764-392)、ローソンチケット(Lコード=32902)、イープラスなど主要なプレイガイド、および展覧会公式ホームページ上のオンラインチケットにて、2010年11月26日(金)~2011年1月31日(月)まで販売。ペアチケットの販売は終了しました。
特別展「手塚治虫のブッダ展」(2011年4月26日(火)~6月26日(日)本館)は別途観覧料が必要です。
「東京・ミュージアムぐるっとパス」で、当日券一般1500円を1400円(100円割引)でお求めいただけます。正門観覧券売場(窓口)にてお申し出ください。2011年度版(2011年4月1日より販売)のみ有効です。
東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を1000円(200円割引)でお求めいただけます。正門観覧券売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示下さい。
特別展「写楽」会期終了後の2011年6月14日(火)~2011年6月26日 7月3日(日)まで、本特別展半券を当館正門観覧券売場にてご提示いただければ、当館総合文化展を半額の割引料金でご覧いただけます。
交  通 JR上野駅公園口・鶯谷駅より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
主  催 東京国立博物館、東京新聞、NHK、NHKプロモーション
協  力 国際浮世絵学会
後  援 文化庁
協  賛 日本写真印刷、みずほ銀行、三井物産
輸送協力 日本航空
カタログ・音声ガイド 展覧会カタログ(2500円)は、平成館2階会場内、および本館地下ミュージアムショップにて販売しています。音声ガイド(日本語のみ)は500円でご利用いただけます。
お問い合わせ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会ホームページ http://sharaku2011.jp/
展覧会公式サイトは会期終了時をもって終了いたしました。

関連事業

  記念講演会
第1回「美術史の中の写楽の役者絵」
  平成館 大講堂 2011年4月10日(日) 2011年5月29日(日) 13:30~15:00 
講師:田沢裕賀(東京国立博物館絵画彫刻室長)
 
第2回「写楽の役者絵の成立事情を探る」
  平成館 大講堂 2011年4月24日(日) 2011年5月22日(日) 13:30~15:00 
講師:浅野秀剛(大和文華館長)
 
ハンズオン体験コーナー「写楽に挑戦!」
  本館20室 教育普及スペース みどりのライオン 会期中 11:00~16:00
ポストカード大の5色のスタンプを使って、「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」を作ってみましょう。
(注)2011年5月2日(月)、5月9日(月)、5月30日(月)、6月6日(月)は、「写楽に挑戦!」はお休みします。
 
「写楽」ジュニアガイド
  特別展「写楽」の鑑賞の手引きとして、ジュニアガイドを制作しました。こちらのページからPDFをダウンロードし、プリントアウトしてご活用ください。
 

展覧会のみどころ

写楽のほとんどすべての作品を網羅する夢のラインナップ

 寛政6年(1794)5月、江戸三座の役者を個性豊かに描いた大判雲母摺りの豪華な作品28図を一度に出版するという華やかなデビューを果たした東洲斎写楽は、翌年正月忽然と姿を消しました。その間10ヵ月(寛政6年(1794)は、閏11月が含まれる)に残した146図の作品は、題材となった歌舞伎が上演された時期によって研究者により4期に分けられています。
本展覧会では、約140図、約170枚の作品によって、写楽版画の全貌を紹介します。その数と質においておそらく空前絶後となる展覧会です。
一期:寛政6年(1794) 5月、都座・桐座・河原崎座に取材した役者絵 [28図すべてを出品]
市川鰕蔵の竹村定之進  一期は、背景を雲母摺りとした大首役者絵のみが出版されました。写楽の個性が最もよく発揮された時期で、多くの作品が残っており、異版も知られることから、当時も人気が高かったことがわかります。現代人がイメージする写楽は、この期の作品ではないでしょうか。
市川鰕蔵の竹村定之進
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)5月 オランダ・アムステルダム国立美術館蔵 大判錦絵
(C)Rijksmuseum, Amsterdam

当代を代表する名優を大首絵で描いた一期の代表作
 
二期:寛政6年(1794)7月、都座・河原崎座 8月、桐座に取材した役者絵 [38図のうち36図を出品]
三代目市川高麗蔵の亀屋忠兵衛と初代中山富三郎の新町のけいせい梅川  二期は大首絵が無く、すべて全身像になりました。大判では雲母摺りの背景に「初代篠塚浦右衛門の口上」の他は二人の役者が描かれています。細判は無背景で1枚に一人ずつ描かれています。
三代目市川高麗蔵の亀屋忠兵衛と初代中山富三郎の新町のけいせい梅川
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)8月 イギリス・大英博物館蔵 大判錦絵
(C)The Trustees of the British Museum

黒雲母摺りの背景にのびやかな描線で描かれた二期の特徴がよくあらわれた作品
 
三期:寛政6年(1794)11月、閏11月、都座・桐座・河原崎座に取材した役者絵、役者追善絵、相撲絵
[64図のうち60図を出品]
 三期は相撲絵や追善絵など、時事的話題を意識した作品が描かれました。 細判役者絵には、今まで描かれなかった背景が描かれるようになり、間判大首絵では、背景を雲母ではなく黄つぶしとしています。
「とら屋虎丸」二代目嵐龍蔵の奴なみ平 大童山文五郎の土俵入り 「とら屋虎丸」二代目嵐龍蔵の奴なみ平(左)
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)閏11月 ベルギー・王立美術歴史博物館蔵 間判錦絵 (C)Royal Museums of Art and History-Brussels

誇張され、形式化された表現が滑稽味のある魅力を生んでいる

大童山文五郎の土俵入り(右)
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)11月 平木浮世絵美術館蔵 間判錦絵
[展示期間:2011年5月24日(火)~6月12日(日)]

当時評判となった七歳のアイドル大童山を描いた作品
 
四期:寛政7年(1795)正月、都座・桐座に取材した役者絵、相撲絵 [12図すべてを出品]
 四期の役者絵は、連続した背景の細判のみが描かれ、形式化が進んでいます。残っている作品数が少ないのは、写楽人気が薄れたためと想像されます。この時期の作品に写楽が筆を絶った秘密があるのかも知れません。
三代目市川八百蔵の曾我の十郎祐成 三代目市川八百蔵の曾我の十郎祐成(左)
六代目市川団十郎の曾我の五郎時宗(中)
市川鰕蔵の工藤左衛門祐経(右)
東洲斎写楽筆 寛政7(1795)年正月 アメリカ・シカゴ美術館蔵 細判錦絵
Photography (C)The Art Institute of Chicago

この期の作品は残存数が少ない。その意味で貴重なこの時期の代表作
 
その他:武者絵や福神を描いた版画が数点あります。
 

最高の摺り、最高の保存状態の作品をセレクト。同じ作品の違う摺りも比べてください。

 皆さんは写楽の版画の本当の色を見たことがありますか?
写楽に限らず、当時の浮世絵版画は、植物性色料が多かったので、退色しやすく、摺ったばかりの色がそのまま残ることはほとんどありません。美術書に掲載されている作品は、比較的良質なものが多いのですが、それでもほとんどの作品は退色しています。
左の「三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵女房おしづ」はかなり状態の良い作品ですが、着衣の絞り模様は薄い茶色になっています。この色は、右のように、本来は紫色でした。今回の展覧会では、摺った当時の姿に近い色の残る希少な作品をいつくか比較展示いたします。
三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵女房おしづ 三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵女房おしづ 比較、おしづ
重要文化財 三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵女房おしづ(左)
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)5月 東京国立博物館蔵 大判錦絵

三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵女房おしづ(右)
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)5月 個人蔵 大判錦絵
Photography: Steven Tucker
 また、なかには、版の一部が異なるいわゆる異版もあります。左と右はともに「初代尾上松助の松下造酒之進」ですが、重ね扇に松の字紋の中央に、着衣の色と同じ濃緑が円く摺りこまれている版とそれのない版の二種があります。摺ってみると、松の字が見えにくいことに気づき削ったものと思われますが、皆さんはどう思われますか。
初代尾上松助の松下造酒之進 初代尾上松助の松下造酒之進 比較、酒之進
重要文化財初代尾上松助の松下造酒之進(左)
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)5月 東京国立博物館蔵 大判錦絵

初代尾上松助の松下造酒之進(右)
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)5月 東京国立博物館蔵 大判錦絵
 

江戸時代の芝居の上演記録を検証。最新の研究成果をもり込みました。

 「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」は、「三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛」と記されることが多いのですが、「奴」を付けるのは誤りです。『恋女房染分手綱』において、鬼次の役は、辻番付・役割番付・絵本番付ともすべて「江戸兵衛」となっており、「奴」は付いていません。写楽が描いたのは、三幕目の四条河原の場において、鷲塚八平次に加担して奴一平を襲い金子を奪う江戸兵衛です。「奴江戸兵衛」とした場合の奴とは、武家の奴僕の意味ですから、「奴江戸兵衛」とした研究者は、江戸兵衛は八平次の家来であると考えたようです。現存する台本を見ると、江戸兵衛は盗賊たちの頭で、八平次に頼まれて一平を襲うのであり、八平次の家来ではありません。したがって「奴」ではありません。
このように、展覧会では、最新の作品研究の成果を反映させます。
三代目大谷鬼次の江戸兵衛   「恋女房染分手綱」絵本番付   「恋女房染分手綱」辻番付   初代市川男女蔵の奴一平
三代目大谷鬼次の江戸兵衛
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)5月 アメリカ・メトロポリタン美術館蔵 大判錦絵
(C)The Metropolitan Museum of Art/ Art Resource, NY
 
「恋女房染分手綱」絵本番付(部分)
寛政6年(1794)5月 河原崎座 早稲田大学演劇博物館蔵
 
「恋女房染分手綱」辻番付(部分)
寛政6年(1794)5月 河原崎座 早稲田大学演劇博物館蔵
 
初代市川男女蔵の奴一平
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)5月 フランス・ギメ東洋美術館像 大判錦絵
Photography: RMN (Musée Guimet, Paris)/ Harry Bréjat/ AMF/ amanaimages
 

同じ芝居、同じ役者を描いた他の浮世絵師の作品と比べてみましょう。

 「花菖蒲文禄曾我」に出演した「三代目沢村宗十郎の大岸蔵人」(左)を描いたのは写楽だけではありません。歌川豊国(右)も、勝川春英も同じ大岸蔵人を描いたものです。他に勝川春艶の団扇絵もあります。それらを比較すると、4図とも祇園町の茶屋の場面の蔵人を描いていることが分かります。しかも、写楽・豊国・春英の3人の図が、共通して広げた扇を持つ姿になっていることに気づきます。しかし、扇の模様は異なります。着衣も微妙に異なります。
展覧会では、「写楽との競作」の章を設け、写楽作品と同一興行の同一の役に取材した作品を比較展示いたします。
三代目沢村宗十郎の大岸蔵人 東洲斎写楽筆 三代目沢村宗十郎の大岸蔵人 勝川春英筆 三代目沢村宗十郎の大岸蔵人(左)
東洲斎写楽筆 寛政6年(1794)5月 アメリカ・ホノルル美術館蔵 大判錦絵

三代目沢村宗十郎の大岸蔵人(右)
勝川春英 寛政6年(1794)5月 イギリス・大英博物館蔵 大判錦絵
(C)The Trustees of the British Museum