この度、トーハクの資料から法隆寺献納宝物の一部と考えられる木簡(もっかん)が発見され、大きな話題となりました。しかし、「博物館から発見ってどういうこと?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
明治時代以来、膨大なコレクションを形成してきたトーハクですが、中には分類・整理のできていない作品や、修理の出来ていない作品も多くあります。こうした作品については研究員が長年かけて地道に研究し、どういう作品か確定した上で「列品(れっぴん)」とよばれる正規のコレクションに加えられます。
この木簡もそうした例の一つで、今回晴れてお披露目となりました。現在、法隆寺宝物館6室では「染織-広東綾大幡(かんとんあやだいばん)と初公開の木簡-」(8月23日(火) ~9月19日(月・祝))と題して、法隆寺伝来の幡とともに、木簡が展示されています。

展示されている木簡
さて、この木簡ですが160点以上にのぼる木の板とともに、箱に収めて保管されてきました。特に木簡は和紙に包まれた状態でしたので、かつて仮に整理されたことがわかります。
木簡も含め、大量の板の多くは両端が斜めに切り取られた特殊な形をしています。これを見てすぐに思ったのは、これが「幡(ばん)」という細長い旗の上部に挿し込まれる「芯板(しんいた)」であるということです。
献納宝物の蜀江錦綾幡(しょっこうきんあやばん)を解体修理した時の写真をご覧下さい(写真下)。これは「幡身(ばんしん)」と呼ばれる幡の本体部分が、蜀江錦(しょっこうきん・しょっこうにしき)という貴重な織物と白地の綾によって作られた幡です。風にはためく幡ですから、蜀江錦も二つ折りにして、両面から見ても良いようになっています。その二つ折りされた蜀江錦のなかに芯板はありました。これは幡が歪まないようにあるもので、ちょうどタオルをハンガーに掛けた様子を想像していただければ、その機能がわかると思います。

蜀江錦綾幡(左)と解体修理時に見つかった幡芯板(右)
芯板は幡の上部にきれいに収まるよう、両端を斜めに切り落としています。今回発見された木簡を含め、多数の板には同じ加工が見られましたので、幡の芯板とみてよいでしょう。つまり、木簡は木簡としての用途を終えた後、幡芯板として再利用されたものだったのです。
それではこの大量の幡芯板はどのように伝来したのでしょうか。その手掛かりとなったのが、木簡を包んでいた和紙です。そこには「第四 新羅墨(しらぎずみ)」という朱書きがされていました。「新羅墨」とは正倉院の所蔵品である「墨 9・10号」(中倉41)を指すため、もとは正倉院に置かれていた時期があったと判明します。では正倉院伝来のもの?となりそうですが、これだけ多くの作品が記録もなく正倉院から入り込むことは考えられません。
そこで浮かび上がってくるのが、法隆寺献納宝物の存在です。これは明治11年(1878)に奈良の法隆寺から皇室に献納された古代仏教美術の一大コレクションであり、トーハクの所蔵品となった現在は法隆寺宝物館で公開されています。
さて、この献納宝物ですが、明治11年から15年まで正倉院で保管されていました。この期間中、明治12年に記された「法隆寺献納物の塵芥櫃(じんかいびつ)」という書類があるのですが、そこには「幡木材片(ばんもくざいへん) 壱括(いっかつ)」とあります。これによって、献納宝物には「幡木材片(幡芯板のこと)」が含まれるとわかり、今回見出された大量の幡芯板が記録に該当する作品と考えられるわけです。
また、木簡に見られる朴訥とした書風や、日付を記す場合の「月生(つきたちて)」などの特殊な用語から、7世紀に遡ることがわかり、これは献納宝物の幡が7世紀の後半から8世紀の前半にかけて作られたことと時代的に一致しています。よって、木簡は法隆寺の伝来品と考えて確かでしょう。
古代の木簡というと、通常は発掘調査によって土の中から発見されます。また正倉院には8世紀の木簡が伝えられていますが、今回紹介する木簡は、一時代古い7世紀のものです。すると、土に埋もれることなく伝えられた伝世品(でんせいひん)としては最古級に位置付けられ、とても貴重な資料であることがわかります。
ではいよいよ、木簡の内容をみていきましょう。調査は奈良文化財研究所史料研究室(奈文研)とトーハクが共同で行いました。ここでは奈文研による調査レポートを参考に概要を記したいと思います。木簡は8点あるのですが、文章として読み取れるものは5点でした。ここではそのうち3点をみてみましょう。



いずれの木簡も古代の寺院生活を考える上で貴重な資料であり、今後の研究が期待されます。みなさんもどうぞ間近にご覧になり、古代の生活に思いを馳せていただければ幸いです。
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posted by 三田覚之(教育普及室・工芸室研究員) at 2016年08月23日 (火)
ほほーい! ぼく、トーハクくん。
8月15日(月)のキッズデー、とーっても楽しかったほー。
今日は、1089ブログの読者のみなさんにも「楽しかった」のおすそ分けだほ!

キッズデーの朝は、開館前から正門の飾りつけ。ぼくとユリノキちゃんのイラストがついた風船で、とってもラブリーなトーハクになったんだほ!

本館エントランスのキッズデー特設インフォメーションだほ。
ぼくもユリノキちゃんも、いっぱいお友だち来てくれるのかなー、と朝からそわそわ。

でも、開館と同時に、お友だちがたくさん!
ぼくたちは、あっという間に取り囲まれて・・・

ほ! ほほーーー! そんなとこつかまないでほーーー

記念撮影につぐ記念撮影。
ほー。。。人気者はつらいほ!

子どものためのギャラリートークでは、研究員さんも大活躍。
みんな、ユリノキちゃんみたいに勉強熱心だったほ。

縄文時代や弥生時代から昔の人がやってくるお芝居仕立てのガイドツアー「トーハク劇場へようこそ!」でも、土偶やはにわのお話をとても熱心に聞いてくれたほ。
そうそう日本の楽器のコンサートでは、ボクとユリノキちゃんも飛び入り参加。

どんどこどこどこ ほほほほーい!

ぬり絵のワークショップでは、みんなすごい集中力を発揮!
できた作品はこんなふうに貼り交ぜ屛風になったんだほ。

勾玉や缶バッジのワークショップもみんな自分だけの作品に大満足。

地下のキッズスペースでは、ちょっと飽きちゃった小さいお友だちがキッズマットで遊んでたほ。
ここでは、離乳食コーナーもあって、ママもパパもリラックス~

なんだか、あっという間の1日。
またみんなに会えるのを楽しみにしてるほー。
追伸
たくさんの人に「ゆるキャラ®グランプリ2016」でないの?
って聞かれたんだほ。
え? 知らなかったのかほ?
だから、出てるんだほ!!
トーハクくんとユリノキちゃんに1票を!
トーハクくん投票ページ
ユリノキちゃん投票ページ
(投票には初回のみID登録が必要、投票は1日1回)
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posted by トーハクくん at 2016年08月18日 (木)
特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」 10万人達成だほ!
ほほーい! ぼく、トーハクくん! 特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」(6月21日(火)~9月19日(月・祝))は、8月5日(金)に10万人目のお客様をお迎えしたほ!!
お越しいただいた皆様に、心より御礼申し上げます。

10万人目のお客様は東京都北区からお越しの四十万成美さん(左から2番目)
特別展「古代ギリシャ」10万人セレモニーにて(8月5日(金) 平成館エントランス)
え?! トーハクくん、セレモニーに参加してきたの?
人前に出る機会は逃さないんだほ~。
もう、トーハクくんだけズルイ!
ふふん♪
それで、10万人目のお客様は、どんな方だったの?
四十万成美(しじまなるみ)さんっていう、大学生のお姉さんだほ。今日は大学のお友達と一緒で、トーハクにはよく来ているらしいほ。
わあ、それはうれしいわね!!
「クレオパトラとエジプトの王妃展」も特別展「始皇帝と大兵馬俑」にも来てくれたんだほ。
古代が好きなのね。
大学で建築を勉強していて、古代の建築に興味をもったのが、きっかけらしいほ。「古代ギリシャ」展は、特に彫刻の作品が気になるらしいほ。
今回の展覧会は、「アルテミス像」をはじめ、古代ギリシャを代表する彫刻が揃っているから、きっと楽しんでいただけたんじゃないかしら。

アルテミス像
前100年頃
アテネ国立考古学博物館蔵
キレイな女神さまだほ~。
大理石なのに、まるで本物の布みたいになめらかな襞が素敵だわ。
四十万さんも「現代のような技術があるわけでもないのに、ずっと昔にこんな精巧な作品があるなんて、すごいと思います」って言ってたほ。


上:平成館ラウンジの撮影コーナーで記念撮影
下:「暑中お見舞い申し上げます」。トーハクくんからは夏のご挨拶としてポストカード(非売品)をプレゼントしました
特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」は、9月19日(月・祝)までです。オリンピックの原点、「古代オリンピック」の展示コーナーもあります。オリンピックシーズンにぴったり、今こそオススメですよ。
「日本で、これだけの古代ギリシャの作品が見られるとは、なんて贅沢なんだー!!」って、担当研究員さんも大興奮の展覧会だほ。見なきゃ損、ぜひ来てほ!!
カテゴリ:news、トーハクくん&ユリノキちゃん、2016年度の特別展
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posted by トーハクくん at 2016年08月05日 (金)
ほほーい ぼくトーハクくん
みんなー 「ゆるキャラ®グランプリ2016」はぼくに投票してくれたかな?
もー トーハクくんったらあ。 今日のブログのテーマはそれじゃないでしょっ!
ほ! そうだったほ。
今日は8月15日(月)トーハクキッズデーのお知らせだほー。
8月15日(月)は、私たち子どものためのとくべつな1日。本館と平成館考古展示室でいろんなイベントを開催します!

月曜だけど、お盆期間中だから開館するんだほー。
きっとお仕事がお休みのお父さん、お母さんも多いはず。みんな一緒にトーハクにGO! だほー。
私が楽しみなのは、トーハクの研究員のせんせいやボランティアの人たちのお話よ。
どうしよう、どれも聞いてみたいけど・・・やっぱり刀剣かなあ。

子どものためのギャラリートーク(「古代ギリシャ」展キッズデーにて)
ほ? ユリノキちゃんって刀剣女子だったのかほ?
ボクは古墳時代のあの英雄にあえるというこれだほ!

古墳時代のあの人現る
あ、いまウワサのあれね。弥生人がとってもお茶目らしいわよ。私も行っちゃおうかなあ。
ユリノキちゃんは手先が器用だからワークショップも楽しそうだほ。ぬり絵を完成させて、大きな屏風に貼って飾るんだほ。どんな作品になるか、わくわくするほ!

ワークシートを完成させると、ごほうびにオリジナル缶バッジを作れるんですって。
ユリノキちゃん、知ってるほ? ボクたちのデザインもあるんだほー!!!!

きゃーっ!うれしい。
ほかにも、コンサートや勾玉作りなど、一日中わくわくすることがいっぱいね。
小さい子たちのためのキッズコーナーやお母さんと赤ちゃんのための授乳スペースもできるのよ。離乳食のためのレンジやポットも用意しているの。
8月15日(月)は、お友だちがいっぱいできそうだほー。
記念すべきミュージアムデビューの子もいるはずよ。
博物館の約束を守って、子どもも大人もみんなで仲良く楽めるといいわね。
トーハクくんとユリノキちゃんからのお願い 博物館の4つの約束 (PDF:271KB)
もちろんボクとユリノキちゃんも参加する予定だほ。
みんな会いにきてほー!
みんなに会えるのを楽しみにしています!
それから、「ゆるキャラ®グランプリ」はユリノキちゃんに投票してくださいね。
ほほーーーーーい!!
ユリノキちゃん、ぬけがけはだめだほ!
みんな、ふたりに投票してほー!
「ゆるキャラ®グランプリ2016」
トーハクくん投票ページ
ユリノキちゃん投票ページ
(投票には初回のみID登録が必要、投票は1日1回)
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posted by トーハクくん at 2016年08月04日 (木)
東京国立博物館では、来年1月17日(火)~3月12日(日)、平成館にて特別展「春日大社 千年の至宝」を開催いたします。
7月22日(金)、開催に先立ち、報道発表会を行ないました。

先行チラシ
当日は、当館副館長の松本と、春日大社宮司の花山院弘匡氏の主催者挨拶のあと、本展覧会担当研究員の土屋貴裕より展覧会趣旨の説明がありました。
松本副館長

花山院宮司

展覧会担当 土屋研究員
春日大社は皆さんご存知のとおり、奈良公園内にある神社です。奈良時代に創建され、全国に約3000ある春日神社の総本山で、春日大社や春日山原始林を含む「古都奈良の文化財」はユネスコの世界遺産にも登録されています。
春日大社では、「式年造替」と呼ばれる社殿の建て替えや修繕が約20年に一度行なわれ、今年、平成28年には第60回目を迎えます。ということは単純計算で1200年!すごいことです。
本展は、この大きな節目に、春日大社に伝来し、社外ではめったに拝観することのかなわない貴重な宝物と春日の神々への祈りが込められた選りすぐりの名品をかつてない規模で展観します。
見どころ、まず1つめは「平安の正倉院」と呼ばれる国宝の古神宝。これら平安工芸の最高峰といえる作品を一堂にご覧いただけます!

国宝 金地螺鈿毛抜形太刀 平安時代・12世紀 春日大社蔵
見どころ、2つ目は日本を代表する甲冑、刀剣類。平成28年3月、春日大社所蔵「黒韋威胴丸」の国宝指定が答申されました。これをあわせた「国宝の甲冑4領」が揃い踏みする史上初の機会となります。さらに国宝の刀剣類も展示され、迫力満点です。

国宝 赤糸威大鎧(竹虎雀飾) 鎌倉時代・13世紀 春日大社蔵
そして見どころ3つ目は鹿。春日大社は神様が鹿に乗って奈良の地においでになったという伝説から、古くから鹿を「神鹿(しんろく)」として大切にしてきました。本展でも神々しくも愛らしい神鹿たちが展覧会会場のあちこちに現れます。


鹿図屏風 江戸時代・17世紀 春日大社蔵
まさに、今 “なら” 見られる、行く “しか” ない! という展覧会です。
来年新春は、上野に春日詣へ。特別展「春日大社 千年の至宝」、どうぞお楽しみに!
※会期中展示替があります。
カテゴリ:news、2016年度の特別展
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posted by 武田卓(広報室) at 2016年07月26日 (火)