本館 特別1室
2010年1月2日(土) ~ 2010年1月31日(日)
中国の花鳥画に描かれる多くの事物には、人々の様々な願いがこめられています。例えば、松は不老不死・長 寿、竹は君子・平安・子孫繁栄、梅は貴人・清客、蓮・水鳥・魚は豊かさ、牡丹(ぼたん)は富貴、桃は長寿、葡萄・瓢箪(ひょうたん)・石榴(ざくろ)は子 孫繁栄、鳳凰は天下泰平、蝙蝠(こうもり)は福を象徴します。なかでも厳寒の季節にも力強い緑を保つ松と竹、百花に先駆けて咲き、清らかな香を放つ梅の三 者は、節度を守り不変の志をもつものの象徴として「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と称えられました。
これらを描いた作品は次第に吉祥図として定着し、人々に親しまれてきました。新年にあたり、松竹梅の歳寒三友をはじめ、吉祥を画題とした明清時代の作品絵画の数々を展示します。
書跡は、明末清初に流行した連綿趣味に焦点をあてて展示します。明王朝から清王朝への移行は、漢民族が異民族である満州族に覇権を奪われた歴史上の大き な転換点です。明末に洗練された連綿趣味は、明王朝に仕えていた臣下らに受け継がれ、明末清初の激動の世相を反映したかのような特異な表現へと変わってい きました。胸中の激情を吐露した気性の激しい表現や、豊かな情感を盛り込んだ個性的な一派など、明末清初に繰り広げられた多様な書の世界を紹介します。