本館 特別1室・特別2室
2006年7月11日(火) ~ 2006年8月6日(日)
江戸時代前期、明の禅僧・隠元(いんげん)らの来日とともにもたらされた中国書法(唐様の書)は、これ以 後、僧侶や儒者文人らを中心に大いに広まりました。この特集陳列では、唐様の時代的展開を館蔵品と寄託品から紹介するとともに、江戸時代中期の池大雅(いけのたいが)と彼に関わる人々の書跡を展示し、唐様の書の流れと彩りをご覧いただきます。
なかでも注目作品は、江戸時代後期以来所在不明で昨年巷間に出現した池大雅筆「水流帖」(原本)です。杜甫(とほ)や李白(りはく)の詩から撰んだ五言詩三十六句を篆隸楷行草(てんれいかいぎょうそう)の各書体で書き分け、淡墨(たんぼく)で折帖(おりじょう)に揮毫(きごう)したもので、晩年50代の筆と推定されます。詩情と筆致が一体化し、悠揚迫らぬ書風は、自然体を志向した生き様と、文人の書の高みを思わせます。