東洋館 5室
2022年10月4日(火) ~ 2023年1月22日(日)
イスラーム陶器とは、およそ7世紀以降、現在のイラン、イラク、シリア、トルコ、エジプトを中心とした地域で焼かれたやきものを指します。その多くは、藍釉や白釉、緑釉をかけ、釉下彩や線刻、貼付けなどの技法を駆使して華やかな装飾をほどこしたもので、中国や日本のやきものとは異なる独特の魅力をそなえています。とくに11世紀後半のエジプトで石英とガラスを混ぜた人工の「フリット胎土」が発明され、シリア、イランへと広まると、釉の発色は安定し、装飾性が一段と高まりました。近年の研究では、地域や時代ごとの特色が明確になり、中国やヨーロッパにおける製陶との影響関係、または独自性も指摘されています。
東京国立博物館には大正、昭和初期に収められたイスラーム陶器の貴重なコレクションがあります。なかには、国内に類例のないきわめて珍しいものも含まれています。また1950年代以降、日本ではイスラーム陶器の収集熱が高まり、これを受けて当館では購入や寄贈によるコレクションの充実がはかられました。本特集は当館のイスラーム陶器コレクションをまとめて展観する初めての試みとなります。ぜひお楽しみください。