このページの本文へ移動

能と歌舞伎 能「土蜘蛛」の面・装束

  • 『能面 万眉 上杉家旧蔵 江戸時代・17世紀』の画像

    能面 万眉 上杉家旧蔵 江戸時代・17世紀

    本館 9室
    2011年6月14日(火) ~ 2011年8月7日(日)

    能「土蜘蛛」は、土蜘蛛の精が紙製の蜘蛛糸を、派手に舞台に投げ広げることで人気のある五番目物(ごばんめもの)(切能(きりのう))です。

    もともと土蜘蛛とは、大和朝廷に服属しない未開の土着民の蔑称でしたが、能では源頼光(みなもとのよりみつ)(「らいこう」とも)に憑く土蜘蛛の精という役柄で登場します。土蜘蛛の精のような鬼神を演じる際には、装束の型が決まっています。「顰(しかみ)」「飛出(とびで)」「癋見(べしみ)」といった鬼神面をかける場合、金襴でできた「法被(はっぴ)」と呼ばれる広袖の上衣(うわぎ)に、やはり金襴を用いた「半切(はんぎれ)」と呼ばれる大きい襞(ひだ)の入った袴を着用します。鬼神の場合には模様も、雲版(うんばん)や輪宝(りんぼう)、槌車(つちぐるま)、雷文(らいもん)や立涌文(たてわくもん)など、力強いものが選ばれます。一方、土蜘蛛の精に襲われる源頼光は、病に伏した若武者ですから「長絹(ちょうけん)」と呼ばれる薄物でできた優雅な上衣を着け、その人柄を象徴します。また、頼光の看病をよそおって現れる怪しげな女性、胡蝶(こちょう)は、美しい唐織(からおり)をまとい、「万媚(まんび)」と称する妖艶な表情の面をつけて現れます。

    能装束の素材と模様は、役柄の性格を演出する重要な要素となっています。江戸時代の京都・西陣において、急速に織物技術の発達したことが、多彩な模様を織り表した能装束のデザインに大きく貢献したのです。

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
能面 万眉  上杉家旧蔵  江戸時代・17世紀
厚板唐織 白地菊唐草模様 上杉家旧蔵 江戸時代・18世紀