国宝 法華経 妙荘厳王本事品（久能寺経）
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国宝 法華経 妙荘厳王本事品（久能寺経）（部分）
平安時代・12世紀 静岡・鉄舟禅寺蔵本館 2室
2025年10月28日（火） ～ 2025年11月24日（月・休）「久能寺経」は静岡市の南部にあった久能寺（現在の鉄舟禅寺）に伝来した写経です。『法華経』28品（章）を各品1巻に仕立てた「一品経」で、同経の序と結のような『無量義経』と『観普賢経』を合わせて、もとは全30巻であったとみられます。極楽往生を願い、仏との縁を結 ぶべく、各巻1人が結縁者となって制作されました。巻末の結縁者と思しき名前から、鳥羽法皇（1103 ～ 56）と中宮・待賢門院璋子 （1101 ～ 45）を中心に、周辺人物が制作にたずさわり、両者いずれかの出家に際した生前の供養（1141年、1142年）のための写経であったと考えられています。
この「妙荘厳王本事品」は、浄蔵と浄眼という２人の王子が、父の妙荘厳王と母の浄徳を仏の道に導いたことを説きます。美しく厳かな趣の料紙は、黄みがかった茶色の染紙にさまざまな形状をした金銀の箔で装飾がほどこされ、金泥で界線（罫線）が引かれています。墨書による経文はまるみのある点画で、太さと配置に変化をつけて文字内の余白を広くとり、明るく柔和な姿をしています。
巻末には「大皇大后宮女房土左殿」と記され、鳥羽法皇の准母として皇后、太皇太后となった令子内親王（1078 ～ 1144）に仕えた女性が本巻の結縁者と考えられています。それぞれの結縁者が贅をこらし、善美を尽くして作られた「久能寺経」には、徳を積み、往生を願う厚い信仰心と、高い美意識がうかがえます。
| 指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
| おすすめ | 国宝 | 法華経 妙荘厳王本事品（久能寺経） | 1巻 | 平安時代・12世紀 | 静岡・鉄舟禅寺蔵 |