国宝 白氏詩巻 (部分)
藤原行成筆 平安時代・寛仁2年(1018)
本館 2室
2025年8月19日(火) ~ 2025年9月21日(日)
淡い茶や赤紫などの色変わりの紙には、中国・唐時代の白居易(白楽天、772 ~ 846)の漢詩が8篇書かれています。冒頭の詩、旧暦8月15日の夜に中秋の名月を客人と楽しんだ際の作など、いずれも白居易の詩文集『白氏文集』にみられます。『白氏文集』は、平安時代に漢詩文の素養が欠かせなかった宮廷貴族のあいだで、必読の書としてもてはやされました。
筆者の藤原行成(972 ~ 1027)は、日本独自の貴族文化が華やいだ平安時代の中ごろに、宮廷随一の書の名手として活躍しました。自筆の奥書から、本作は寛仁2年8月21日、行成47歳時の筆跡と知られます。繊細な色調の美しい料紙を選び、時季に合う詩などを書いて贈り物としたのでしょう。
流麗な筆遣いの書は、墨の濃淡や線の太さが大胆かつ繊細に変化し、筆者の息遣いまでもが伝わってくるかのようです。均整のとれた文字は、墨線と余白のコントラストが際立ち、明るく優美な姿をしています。奥書には、改元前の長和という年号を誤って記したり、写経職人の筆を借りたために漢字をかたちづくる点画が普段と違ってよくないので笑わないでほしいと述べたり、筆者の人柄が垣間見られます。
藤原行成の書は、その時代を映しだすかのように典雅で柔和な趣に満ちています。最高峰の和様の書を心行くまでご堪能いただけますと幸いです。
| 指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
| おすすめ | 国宝 | 白氏詩巻 | 1巻 | 藤原行成筆 | 平安時代・寛仁2年(1018) | B-2533 |