国宝 秋萩帖(部分)
伝小野道風筆 平安時代・11~12世紀
本館 2室
2020年11月3日(火・祝) ~ 2020年11月29日(日)
「安幾破起乃(あきはぎの)」で始まるため「秋萩帖」と呼ばれるこの作品は、48首の和歌が、すべて草仮名(そうがな)で書写された珍しいものです。その流麗な草仮名は、伏見天皇(ふしみてんのう、1265~1317)も紙背(しはい、紙の裏)に花押(かおう)を記すほど愛玩していました。また、江戸時代にはこの作品のさまざまな模写や模刻が作られており、良寛(りょうかん、1751~1831)が習書したことでも有名です。
その草仮名の和歌に続いて、16紙目からは、中国東晋時代の書聖・王羲之(おうぎし)の尺牘(せきとく、書状)が臨書されています。また、2紙目以降の紙背には中国の思想書「淮南鴻烈兵略間詁 第廿(えなんこうれつへいりゃくかんこ だいにじゅう)」(中国唐時代・八世紀書写)が記されており、その裏を利用したことがうかがわれます。
筆を少し傾けて書いた柔らかい筆遣いは、平安時代に流行した和様(わよう)の書の特徴的な筆致といえます。筆者は、平安時代中期の能書として知られる「三跡」の小野道風(おののとうふう)や藤原行成(ふじわらのこうぜい)と伝えられてきましたが、実際には誰の筆か特定されていません。1紙目と2紙目以降では筆者が変わっています。
色とりどりの染紙を美しく継いだ料紙と、各時代の人々が愛好してきた平安時代後半の草仮名をご堪能ください。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 秋萩帖 | 1巻 | 伝小野道風筆 | 平安時代・11~12世紀 | B-2532-1 |