国宝 善無畏像・慧文大師像(部分) 平安時代・11世紀 兵庫・一乗寺蔵
本館 2室
2016年1月19日(火) ~ 2016年2月14日(日)
インドから中国、そして日本にいたるまで、天台宗に関わりのある高僧など10人を描いた全10幅の作品です。10人の中には、天台宗が拠所とする『法華経』の注釈書を日本で初めて著した聖徳太子も含まれています。今回はそのうち、善無畏と慧文大師の2幅をご覧いただきます。
善無畏(637 - 735)はインドの貴族として生まれ、マガダ国の王となりましたが、兄弟との大きな戦の後に出家しました。後に中国へと赴き、『大日経』など密教の重要な経典を中国語に翻訳しました。密教も重視した日本天台宗の立場から人選されていることがうかがえます。また慧文(生没年不詳)は中国南北朝時代(439 - 589)の高僧で、天台宗を確立した天台大師智顗はその孫弟子にあたります。
どちらの作品も一見、大振でおおらかに見える造形ですが、よくみると頭髪やひげ、まつげの描写、衣の文様など繊細な表現もなされています。
彩色は白味をおびた明るく柔らかな色にさらに白線を添えるなど、優美な色彩感覚で統一されています。こうした明るく優しい彩色を主体とすることは、平安中期の仏画に共通する感覚です。
大らかさと穏やかさに繊細さも兼ねそなえた造形が見所の一つといえるでしょう。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 善無畏像・慧文大師像 | 2幅 | 平安時代・11世紀 | 兵庫・一乗寺蔵 |