東洋館 8室
2015年9月8日(火) ~ 2015年11月29日(日)
今年も、秋の中国美術の名品展として「中国書画精華」を開催します。わが国に古くから舶載(はくさい)された中国の書画は、日本美術にも大きな影響を与えてきました。特に、宋元時代の書画は、鎌倉時代以降、禅宗とともに数多く伝えられ、書院や茶室において、日本の趣味にもとづく新たな鑑賞法のもとに親しまれてきました。
例えば、南宋時代に宮廷で活躍した梁楷(りょうかい)の絵画は、中国に伝存する作例がほとんどありませんが、わが国では唐絵(からえ)の中でも最上と評され、大切にされてきました。出山釈迦図(しゅっさんしゃかず)を中心に、左右に雪景山水図を配する国宝の三幅対には、足利義満の印が押され、贅を尽くした表具に仕立てられています。
また明治以降、新たに中国本来の文人趣味を理想とする優れた収集家によって、中国伝世の歴代書画の精品が、少なからず日本に伝えられました。それらは、中国の書画の神髄を示すものといえます。今回は中国の名品がいつごろ日本に伝えられ、どのような影響を与えてきたのか、日本における受容と発展に注目しながら、名品の尽きせぬ魅力をご紹介いたします。