本館 18室
2011年2月1日(火) ~ 2011年3月13日(日)
黒田清輝は1893年夏に9年間におよぶフランス留学を終えて帰国し、同年秋、初めて京都を訪れます。留学 中、絵画の師であったラファエル・コランほか多くのジャポニザン(日本趣味を持つ人々)と交遊した黒田でしたが、帰国直後のこの京都旅行で、初めて日本の 伝統的風俗に触れることになります。黒田は「京都に来て始めて日本と云ふ一風変つた世界の外に在る様な珍しい国に来た様な心持がしました」と述べ、また舞 妓について「西洋人が日本の女は小さな奇麗な鳥見たやうなものだと云ひますが、成程奇麗な触はつたら壊はれさうな、一つの飾物だと云ふ何しろ珍しくてたま らない様な感じが起つた」と述べています。
帰国間もない黒田は京都を異文化としてとらえていたようです。この時期に、≪舞妓≫や大作≪昔語り≫など、溌剌とした作品が生まれています。
本展示では黒田清輝が京都を題材に描いた作品を通じて、黒田と、彼にとって重要な制作の場となった京都との関わりを再考してみたいと思います。