本館 14室
2025年8月26日(火) ~ 2025年11月9日(日)
飛鳥時代、大陸から日本に仏教芸能である伎楽が伝わりました。それ以来日本では、宮廷の仮面劇として発展した舞楽や、室町時代に大成した能、狂言といった、仮面を用いる多様な芸能が栄えてきました。基本的に仮面は人を表わしますが、人のほかにも神や鬼など多種多様な仮面が使われ、その造形も様々です。なかでもひときわ目を引くのが、動物の仮面です。
本特集では、芸能の垣根を越えて、動物をテーマとした仮面を一堂にご覧いただきます。動物の顔を今日でもわかりやすく写実的に表わした狂言面の猿や狐から、鳥を擬人化した舞楽面の崑崙八仙、獅子でありながら、かなり人間に近い容貌である能面の獅子口のほか、すぼめた口に筒型に丸めた紙をはめて蚊に見立てるうそぶき、滑稽な表情を動物の精に見立てる賢徳など、一見して動物とは思われないものまであります。人々は動物を演じることを楽しみ、芸能に登場する動物に親しみを感じていたのかもしれません。多彩な表現による動物の仮面を通して、人々の動物への眼差しを体感していただければ幸いです。