本館 16室
2013年7月2日(火) ~ 2013年8月25日(日)
古文書とは、一般的には差出人と受取人とがあり、また用件等の内容を備えたものと定義することができます。日本では、古くから書面上での儀礼が重んじられ、差出人と受取人との関係や、その内容などによって、文書の様式から、使用する紙、封の仕方にいたるまで、さまざまな決まりがありました。したがって、その文書の作成、内容、特色など発給の様式、手続や機能、相互の関連をはじめ、材料、筆跡、墨色、書風、封式などの形態、現在に伝わった経緯などが古文書研究の主なテーマとなっています。
料紙の材質については、平安時代以降、文書には主に楮紙(ちょし)、雁皮紙(がんぴし)、三椏紙(みつまたがみ)などが使用されてきました。漉き返し(すきかえし)た薄墨色の紙は、天皇の意を蔵人が奉じて出す綸旨、口宣案(くぜんあん)などにみられます。当時、紙は貴重であったため、典籍の書写や、日記を書く際に、不要となった文書の裏面も使用され、こうして偶然、今日に伝わった文書を「紙背文書(しはいもんじょ)」とよんでいます。
陳列では、主に著名な人物に関わるものや、各時代の特色を示す典型的な文書を取り上げ、解説もできるだけわかりやすくすることで、古文書に親しんでいただくことを目標としています。なお、本陳列は科学研究費「古文書データベース」 の研究成果公開の一環として実施するものです。