重要文化財 能面 泥眼
「天下一河内」焼印 奈良・金春家伝来 江戸時代・17世紀
本館 9室
2025年10月15日(水) ~ 2025年11月30日(日)
能「葵上」は、『源氏物語』「葵上」の巻をモティーフとした名曲です。
左大臣の娘である葵上は光源氏の正室となり身籠ります。ところが、毎夜、物の怪に襲われ苦しむこととなり、加持祈祷やさまざまな薬を試すのですが、一向に良くなる気配がありません。そこで、名高い巫女である照日の巫女に命じて梓弓を引き鳴らすと、壊れた牛車に乗った女性がどこからともなく現れ、梓弓の弦音に惹かれてやってきたのだと言います。その女性こそが、賀茂祭の見物の際、車争いに負けて葵上の車に追い立てられ、車を壊された挙句に隅に追いやられてしまった光源氏の恋人・六条御息所だったのでした。かつては天皇の妃として栄華を極めた御息所にとって、葵上の一行による加茂祭の仕打ちは大きな屈辱となりました。その上、光源氏の愛情をも奪われてしまったと思い悩み、ついには生霊となって葵上に後妻打ちを繰り返すのでした。前シテに登場する六条御息所の霊には能面「泥眼」を用います。眼の部分を金泥で彩色することによって、霊性を帯びた表情となります。さらに、後シテで後妻打ちをする凄まじい姿には、恨みと悲しみによって鬼女と変わり果てた能面「般若」を用います。能面に刻まれた精神性や心情の表現にご注目ください。また、きらびやかな中にも気品を漂わせる装束を通して、幽玄の美によって再解釈された『源氏物語』の表現をご覧いただきます。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 重文 | 能面 泥眼 | 1面 | 「天下一河内」焼印 奈良・金春家伝来 | 江戸時代・17世紀 | C-1538 | |
おすすめ | 唐織 紅浅葱段毘沙門亀甲御所車冊子模様 | 1領 | 上杉家伝来 | 江戸時代・18世紀 | I-2034 | ||
唐織 淡茶紅緑段霞菊地紙模様 | 1領 | 奈良・金春家伝来 | 江戸時代・18世紀 | I-3521 | |||
水衣 紺地縞模様 | 1領 | 江戸時代・18世紀 | I-2838 | ||||
白大口 | 1腰 | 江戸時代・18世紀 | I-2852 | ||||
おすすめ | 重文 | 能面 般若 | 1面 | 奈良・金春家伝来 | 江戸時代・17世紀 | C-1555 | |
摺箔 淡浅葱地鱗模様 | 1領 | 江戸時代・18世紀 | I-2875 | ||||
縫箔 紺地丸紋散模様 | 1領 | 江戸時代・18世紀 | I-2878 | ||||
鬘帯 胴箔地鱗模様 | 1筋 | 奈良・金春家伝来 | 江戸時代・19世紀 | I-3315 | |||
縫箔 紅地檜垣夕顔模様 | 1領 | 江戸時代・18世紀 | 文化庁蔵 | ||||
おすすめ | 能狂言絵巻(上巻) | 1巻 | 筆者不詳 | 江戸時代・18世紀 | A-10185-1 | 前期(10/15~11/3)、後期(11/5~11/30)、巻替(11/4) |