国宝 法華経 巻第一(浅草寺経)(部分) 平安時代・11世紀 東京・浅草寺蔵
本館 2室
2017年5月9日(火) ~ 2017年6月4日(日)
東京・浅草寺に伝わったため「浅草寺経」と呼ばれる『法華経』です。『法華経』全八巻と、『無量義経(むりょうぎきょう)』、『観普賢経(かんふげんきょう)』を合わせて全十巻が揃っています。
全紙にわたって丁字(ちょうじ)を吹いて装飾が施された料紙は、表紙と見返しは茶に近い濃い色で、本紙と紙背は薄めの色となっています。その上に、金の小切箔が全体に撒かれた華やかな装飾経です。さらに本紙には金泥の界線(かいせん)が引かれています。見返しには、各巻ともに金銀泥で経意絵(きょういえ、経の趣旨を表す絵)が描かれており、今回ご紹介する巻第一には釈迦説法図(しゃかせっぽうず)が描かれています。経文(きょうもん)は、小振りの文字で端正な丸みを帯びた和様(わよう)の筆致で、全十巻を一筆(一人)で書写しています。朱点は後世に付けられたものです。
平安時代の後期には装飾経が盛んに作られるようになりましたが、本巻は、蝶鳥文様の螺鈿(らでん)を施した軸首や、四種の糸を織った平打組紐が、制作当時の姿を残しておりとても珍しいものです。浅草寺に伝来した由縁は不明ですが、全巻を一人で、これほど丁寧に書写された本巻には、強い願いがこめられているといえるでしょう。気持ちのこもった一文字一文字をご堪能ください。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 法華経 巻第一(浅草寺経) | 1巻 | 平安時代・11世紀 | 東京・浅草寺蔵 |