本館 特別1室
2024年5月21日(火) ~ 2024年7月7日(日)
西方にある極楽浄土の仏として知られる阿弥陀如来は、苦しみに満ちたこの世を離れ、浄土への生まれ変わりを願う人々の信仰を集めました。とりわけ、信者が亡くなる際、阿弥陀が現世まで迎えに来る「来迎(らいごう)」を期待する人々は多く、この姿を表した彫刻や、来迎の場面を示す絵画が盛んに制作されました。
古代の遺品としては、日本最古とされる法隆寺献納宝物の阿弥陀三尊像や、法隆寺金堂壁画のうち第六号壁(本特集では模本を展示)の阿弥陀浄土図が知られますが、数多くの仏の一つとして日本に紹介されたようです。平安時代になると、手の形で来迎を示す阿弥陀如来像が登場し、とくに浄土教と呼ばれる信仰において人気を集めました。鎌倉時代以降は、なかでも立ち姿が好まれ、仏師快慶(かいけい、?~1227以前)が得意とした三尺(約90センチ)の阿弥陀立像は、江戸時代にかけて数多く造られました。
本特集では、館蔵・寄託品のうち阿弥陀如来を表した彫刻作品を中心に展示し、古代から中世にかけて展開した阿弥陀信仰をたどります。平成館で開催される特別展「法然と極楽浄土」(平成館特別展示室にて、2024年4月16日(火)~2024年6月9日(日))とあわせてご覧ください。