本館 14室
2024年1月16日(火) ~ 2024年2月25日(日)
塔は仏教の開祖である釈迦が入滅して荼毘(だび)に付された後、古代インドで遺骨(舎利)を祀った施設(ストゥーパ)を起源としています。その後釈迦・舎利信仰の広がりとともに、中央アジア、中国、朝鮮半島を経て日本へも伝わり、形式もその土地に応じて変化を遂げ、各地で舎利を礼拝・供養するための塔や、これを模した小塔が多数作られました。また、『法華経』などに塔を造ることが功徳(くどく)となることが説かれたことから、多数の小塔を造立することも盛んに行われました。
もう一方の厨子(ずし)は仏像や舎利などを安置し、礼拝・供養するためのいれもので、日本では一般に、台座と屋根、観音開きの扉を有しています。石窟(せっくつ)寺院に営まれた仏龕(ぶつがん)などを源流とし、仏堂や仏・菩薩の住まう浄土を模して大小様々な形式のものが作られました。中には舎利を納めた塔を厨子に安置する形式もあり、これらはそれぞれ建造物に起源する造形物として興味深い関係を有しています。
本特集では、ともに建造物を模して製作された塔と厨子を概観し、その多彩な形式と魅力を紹介します。