本館 14室
2022年3月23日(水) ~ 2022年5月15日(日)
本特集は、東京国立博物館が収蔵する東南アジア陶磁のうち、明治から大正、昭和のはじめにかけて収蔵された稀少な作品に注目し、近代日本における陶磁器研究の歴史 をたどりながら、その造形的魅力を紹介するものです。
東南アジア陶磁、主にタイやベトナムで焼かれたやきものは、貿易を通じて日本にもたらされ、古くから親しまれてきました。鉄を成分とする褐釉を掛けた素朴な壺、甕や、中国陶磁に倣った白磁や青磁、青花、五彩など、個性豊かでさまざまな特徴をそなえた製品があり、なかには「宋胡録」や「安南焼」のように、茶の湯の道具に見立てられ、茶人のあいだで珍重されたものもあります。そして明治時代以降、鑑賞陶器として注目されるようになると、東南アジアを訪れた人びとによって新たなコレクションが形成されました。
ここでは、明治末に外交官としてタイを訪れた吉田作弥(1859 ~ 1929)、戦前にインドネシアで事業を興した岡野繁蔵(1894 ~ 1975)、そして東洋陶磁収集で名を馳せた横河民輔(1864 ~ 1945) らが集めた貴重な作品を中心に、今年開館150 年を迎える当館ならではの充実した東南アジア陶磁コレクションをご覧いただきます。