本館 14室
2017年5月23日(火) ~ 2017年8月27日(日)
日本ほど古い仮面が数多く残り、多彩な造形がみられる国はないでしょう。今回は舞楽面、行道面をご紹介します。
舞楽面は中国、朝鮮、ベトナム等から伝来した音楽や舞をもとに、平安時代、宮廷で日本独自の形にまとめられた舞楽で使われました。舞楽が最も栄えた平安時代中期から鎌倉時代の作品を中心に展示します。たとえば奈良・東大寺の鎮守である手向山八幡宮の舞楽面には、長久3年(1042)、永暦元年(1160)の銘のあるものが含まれます。熱田神宮には、治承2年(1178)の修理銘をもつ舞楽面が伝わります。これらを承元5年、建暦元年(ともに1211)に写したものが、尾張国で最も格式高い一宮とされる真清田神社(ますみだじんじゃ)に伝来しました。舞楽面はいずれも、龍や霊鳥をかたどったり、人物の個性を誇張して表したりした造形が魅力です。さらに一部の面には目や顎、鼻が動く独特の工夫がされています。舞台ではどのように見えるのでしょう。
菩薩や護法神を表す行道面は、これをつけてお堂の周りを行列する仏教の儀式で使われました。高野山金剛峯寺の鎮守、丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ、高野山天野社(あまのしゃ))の舞楽面、行道面は一切経会という法会で使われたことが分かっています。造形はもちろん、儀式の雰囲気を想像しながらご覧ください。