本館 特別1室
2016年3月15日(火) ~ 2016年4月24日(日)
当館では、文化財の公開と保存を両立し、未来へと伝えるため、以下の3つを柱とする臨床保存の理念のもと、保存修復事業を行なっています。それは、展示・収蔵などの環境の整備を行なう「予防」、文化財の状態および展示室や収蔵庫の環境に関する「診断」、折れの緩和や剥落(はくらく)止めなどの応急的な対症修理から、解体を伴う抜本的な安定化のための本格修理まで状況に応じた「修理」の3つからなります。
本特集では、近年修理を終えた作品を展示し、当館の保存修復事業の成果の一端をご覧いただきます。それぞれの修理のポイントや工程、その過程で得られた情報をあわせて紹介する企画で、今年度で16回目を迎えました。今回は、絵画、書跡、刀剣、陶磁、漆工、染織、考古、東洋考古の分野から本格修理を行なった作品21件、絵画資料、法隆寺献納宝物、東洋染織から対症修理を行なった作品6件を本館特別1室にて、さらに、本格修理を終えた国宝の渡辺崋山筆「鷹見泉石像」を本館2室(国宝室)にて展示いたします。
文化財の保存と公開に携わる当館の取り組みや文化財の修理に関心を持っていただき、それらを介して文化財とその背後にある文化や歴史についての理解を深める一助となれば幸いです。
※ 展示作品の修理に関わった個人・機関などは次のとおりです。
飛鳥工房、㈱岡墨光堂、小野博、国宝修理装潢師連盟関東支部、澤田むつ代、㈱染技連、㈱東都文化財保存研究所、㈱半田九清堂、ますぶち工房、松原亜実、武蔵野文化財修復研究所
(敬称略、五十音順)
東京国立博物館保存修復課保存修復室アソシエイトフェロー 平河智恵、下田純平