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法帖と帖学派

  • 『行書祝寿詩軸 劉よう筆 清時代・嘉慶元年(1796) 』の画像

    行書祝寿詩軸 劉よう筆 清時代・嘉慶元年(1796)

    東洋館 第8室
    2009年3月3日(火) ~ 2009年4月26日(日)

     現在のような印刷技術のなかった古代の中国では、早くから拓本(たくほん)の技法が考案され、学書や鑑賞 に供されてきました。拓本の文化を背景に、名筆を選んで木や石に刻し、これを製本したものが法帖(ほうじょう)で、多くの人々の書を集めたものを「集帖 (しゅうじょう)」、ひとりの人物の書を集めたものを「専帖(せんじょう)」、ひとつの作品のみを収めたものを「単帖(たんじょう)」といいます。

      北宋(ほくそう)の淳化(じゅんか)3年(992)、太宗(たいそう)皇帝は宮中の所蔵品から歴代の名筆を選出・編修した法帖を刊行させました。これが 勅撰(ちょくせん)になる最古の集帖『淳化閣帖(じゅんかかくじょう)』です。王羲之(おうぎし)・王献之(おうけんし)(二王)の行草書や、その流れを 汲む書を収めた『淳化閣帖』は、後世に大きな影響を与えました。

      明時代には著名な収蔵家が輩出し、収蔵品を誇示するかのように、家刻の法帖を刊行するようになり、その風潮は清時代に受け継がれます。宋時代から元・ 明・清時代にわたって、法帖は書を学ぶ者の基本テキストとして尊ばれてきました。中国書法史を彩る多くの書人は、二王とその流れを汲む書を収録する法帖に よって書法を習得し、自らの書風を創り上げてきたのです。

      このたびは、官刻(かんこく)や家刻(かこく)のさまざまな法帖と、法帖を学んで一家を成した清時代の諸家の作例を展観します。台東区立書道博物館と同一のテーマで開催する共同企画は、今回が第6回。両館の展示を通して、古人の古典に対する様々な想いをご高覧ください。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
群玉堂米帖 米ふつ筆 北宋時代・11世紀 高島菊次郎氏寄贈
十七帖 王義之筆 東晋時代・4世紀 江川吟舟氏寄贈
楷行草雑臨古帖巻 劉よう筆 清時代・乾隆51年(1786) 高島菊次郎氏寄贈
臨米ふつ書軸 王じゅ筆 清時代・17~18世紀 青山杉雨氏寄贈
行書祝寿詩軸 劉よう筆 清時代・嘉慶元年(1796)
台東区立書道博物館との連携事業

台東区立書道博物館 2009年2月28日(土)~4月26日(日)
台東区立書道博物館では、企画展「中村不折コレクション『法帖と帖学派』」を開催します。ぜひ両展示ともご覧ください。

※会期中、東京国立博物館で書道博物館の、書道博物館で東京国立博物館の半券をご提示いただければ、それぞれ団体割引料金で観覧できます(各種割引の併用はできません)。

 台東区立書道博物館のウェブサイト:http://www.taitocity.net/taito/shodou/
関連事業

列品解説「法帖と帖学派」
東洋館第8室:2009年3月10日(火) 14:00 受付終了
講師:調査研究課長 富田 淳