本館 特別2室
2008年2月5日(火) ~ 2008年3月16日(日)
幕末・明治の日本は近代国家としての富国強兵をめざして西洋人を様々な分野の顧問、教師、技師などとして雇い入れました。いわゆる「お雇い外国人」と呼ばれる人々です。
その中で、日本の本格的な近代美術の基礎を築いた人物として、洋画家のアントニオ・フォンタネージと彫刻家のビンチェンツォ・ラグーザが挙げられます。彼らは1876年に、日本で初めて官設の本格的西欧風美術教育機関として開設された工部美術学校の美術教師としてイタリアより招聘されました。政府が求めたものは欧風建築に必要な技術としての西洋絵画・彫刻であり、学校自体は政府の財政悪化や国粋主義の高まりを背景として7年で閉校されてしまいます。しかし、フォンタネージらの教育は政府の思惑を超え、その後の日本近代美術の発展に大きな影響を与えるものとなりました。
フォンタネージ自作の油彩画やデッサン、そして今回が初出展となる、彼らが教材としてイタリアから持参したとみられる銅版画類、生徒たちの習作など、当時の教育の現場を彷彿とさせる作品を展示します。これらの作品を通し、近代美術形成期の息吹を感じ取ってください。