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那智山出土仏教遺物

  • 『金剛界成身会曼荼羅のうち三昧耶形 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山出土 平安時代・12世紀 北又留四郎氏外2名寄贈』の画像

    金剛界成身会曼荼羅のうち三昧耶形 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山出土 平安時代・12世紀 北又留四郎氏外2名寄贈

    本館 14室
    2008年7月29日(火) ~ 2008年11月16日(日)

     熊野三山のひとつ和歌山県東牟婁郡那智勝浦町に所在する那智山では、「一滝(いちのたき)」と呼ばれる那智滝が、古くからご神体として信仰の対象となって きました。それを裏付けるように那智滝参道の枯池(かれいけ)と呼ばれる地域から、大正7年(1918)と昭和5年(1930)に経筒、仏像、鏡像、仏具 など、仏教に関係する遺物が大量に発見されました。経筒が70口近くも出土しているので、大規模な経塚があったものと思われますが、 とくに注目されるのは密教の金剛界曼荼羅(こんごうかいまんだら)の中心、成身会(じょうじんえ)を構成する仏像や、諸尊の持物などを表す三昧耶形(さまやぎょう)が出土したことです。 曼荼羅は紙や絹布に描かれることが一般的ですが、これは半肉(はんにく)彫りの仏像と鋺形の蓮台上に置いた三昧耶形とで立体的に表したものであり、他に類例を見ないものです。

      また、五種鈴(ごしゅれい)や金剛杵(こんごうしょ)、火舎(かしゃ)、六器(ろっき)、羯磨(かつま)、四けつ(しけつ)など密教の大壇(だいだん)を構成する法具類も出土しています。これらは、大治5年(1130)、行誉による『那智山瀧本金経門縁起(なちさんたきもときんけいもんえんぎ)』が写本として伝わっていますが、そこに記載される品々と一致すると考えられています。またこの他にも飛鳥時代の小金銅仏、奈良時代の錫杖(しゃくじょう)や中国五代の銭弘俶(せんこうしゅく)が造立した八万四千塔、平安時代の和鏡など各時代にわたる多彩な品々も出土しました。

      わが国を代表する山岳仏教遺跡にあげられる、那智山出土の仏教遺物をこの機会にご覧ください。

主な出品作品

*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
金銅呉越王八万四千塔 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山出土 中国・五代時代・10世紀 北又留四郎氏外2名寄贈
銅鋳出薬師如来立像 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山出土 飛鳥~奈良時代・7~8世紀 北又留四郎氏外2名寄贈
銅大壇具 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山出土 平安時代・12世紀 北又留四郎氏外2名寄贈
金剛界成身会曼荼羅  和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山出土 平安時代・12世紀 北又留四郎氏外2名寄贈