東洋館 第3室
2005年10月4日(火) ~ 2005年12月25日(日)
蒟醤(きんま)とは、まず器面に文様を線彫りし、その中に色漆(いろうるし)を充填(じゅうてん)して、乾いたのちに研(と)ぎ出す技法をいいます。タイ、ミャンマーに伝わるもっとも一般的な漆工芸技法です。この地方の人々は、檳榔樹(びんろうじゅ)の実を薄く切り、鬱金(うこん)の粉や香料と混ぜ合わせ、石灰(せっかい)を塗った蔓草(つるくさ)の葉に包んで噛(か)む習慣があります。一種の嗜好品であり、漆の容器に収められました。タイでは檳榔樹の実を噛むことをキンマークといいます。日本にはアユタヤとの交易を通じてタイの漆器がもたらされ、そのおりに蒟醤という呼び名が定着したと考えられています。タイの蒟醤は、黒漆地に朱で、小さな草花の連続文様や、さまざまな空想獣があらわされています。