平成館 考古展示室
2013年10月29日(火) ~ 2014年3月9日(日)
九州北西部地方の玄界灘(げんかいなだ)沿岸部は、日本列島で最初に稲作文化を受容した地域で、大陸製青銅器が数多く分布します。一方、響灘(ひびきなだ)と呼ばれる九州北東部地方から山口県の日本海側にも、弥生時代前期に多くの遺跡が形成され、なかでも下関地方は多鈕細文鏡(たちゅうさいもんきょう)・有柄細形銅剣(ゆうへいほそがたどうけん)などが出土し、朝鮮半島から伝わった大陸製青銅器の主要な分布圏の東限として知られています。
多数の巨大な袋状貯蔵穴で有名な綾羅木郷(あやらぎごう)遺跡は、さまざまな土器・石器・装身具や食料関係遺物が出土し、前期から中期にかけての典型的な農耕集落遺跡として有名です。
美しい文様の綾羅木郷式土器は、響灘沿岸部から主に山陰地方と瀬戸内海西部地方に分布し、強く張る肩部と貝殻で施された羽状文様(うじょうもんよう)や山形重弧文(やまがたじゅうこもん)などが特徴です。また、韓国・青銅器時代の玉類に類似した勾玉(まがたま)類や各種の信仰関係遺物などをはじめ、日本海側の前期弥生文化に特徴的な土笛(つちぶえ)の出土は、大陸伝来の稲作農耕文化が本州などの東へ伝播するルート上で、綾羅木郷遺跡が交流の拠点的な位置を占めていたことを物語っています。
本特集陳列は平成25年度考古相互貸借事業によるもので、特色ある本州最西端の弥生文化を下関市立考古博物館所蔵の出土品で紹介します。