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おひなさまと日本の人形

  • 『雛人形 江戸時代・19世紀』の画像

    雛人形 江戸時代・19世紀

    本館 14室
    2013年1月29日(火) ~ 2013年3月3日(日)

    三月三日は桃の節句と呼ばれ、女の子の健やかな成長を祈る雛(ひな)祭りです。雛祭りに人形を飾ってお祝いする行事がいつ頃から始まったのかはわかりませんが、江戸時代には年中行事となっていたようです。貞享年間(1684~88)の『江戸鹿子』によれば、中橋・尾張町一丁目・十軒店・人形町・麹町四丁目などで雛市が立ったといいます。

    江戸時代前期は紙製の立雛(たちびな)が主流でしたが、江戸時代中期以降は、彩り鮮やかな裂(きれ)を縫い合わせた衣装を着た坐り雛(すわりびな)が飾られるようになりました。室町時代の風俗を写したといわれる室町雛(むろまちびな)、重ねられた錦が華やかな享保雛(きょうほうびな)、関西で人気の丸顔の次郎左衛門雛(じろうざえもんびな)、江戸好みの面長な顔立ちの古今雛(こきんびな)などです。今では、雛壇には一対の内裏雛(だいりびな)と三人官女(さんにんかんじょ)、右大臣・左大臣に白丁(はくちょう)、五人囃子(ごにんばやし)を飾ることが通例ですが、江戸時代後期の雛壇には、いくつものお内裏さまやお雛さまを飾ったり、地方色豊かな郷土の人形なども一緒に並べたりして、とてもにぎやかでした。今年は、江戸時代より京都で制作されてきた伝統的な御所人形(ごしょにんぎょう)や嵯峨人形(さがにんぎょう)もあわせてご覧いただきます。繊細な細工が施された人形や雛道具には、ミニチュアをいつくしむ日本人の国民性があらわれています。

     

    担当研究員の一言

    一足早い雛祭り。自分の少女時代や子どもや孫に思いをはせながら、ともに女の子の健やかな成長を願いましょう。/小山弓弦葉

 主な出品作品
*所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
享保雛 江戸時代・19世紀
嵯峨人形 裸嵯峨 江戸時代・18~19世紀 個人蔵