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プライスコレクション 「若冲と江戸絵画」展

プライスコレクション 「若冲と江戸絵画」展
平成館 特別展示室   2006年7月4日(火) ~ 2006年8月27日(日)

  
紫陽花双鶏図 伊藤若冲筆 江戸時代・18世紀
エツコ&ジョー・プライスコレクション

 伊藤若冲を中心とした個性的画家たちの作品が近年注目を集めているアメリカ・カリフォルニアのプライスコレクション。長沢芦雪、森狙仙など上方の個性派画家の作品や、酒井抱一、鈴木其一など江戸琳派の作品、そして肉筆浮世絵101点による里帰り展です。

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開催概要
会  期 2006年7月4日(火)~8月27日(日)
会  場 東京国立博物館 平成館 (上野公園)
開館時間 9:30~17:00 (毎週金曜日は20:00まで、土・日・祝日は18:00まで開館。入館は閉館の30分前まで)
※時間帯ごとの会場状況についてはこちら
休館日 月曜日(ただし2006年7月17日(月・祝)・8月14日(月)は開館、7月18日(火)は休館。)
観覧料金 一般1300円(1100円/1000円)、大学生・高校生900円(700円/600円)
中学生以下無料
( )内は前売り/20名以上の団体料金
障害者とその介護者一名は無料です。入館の際に障害者手帳などをご提示ください。
前売券は電子チケットぴあ、ローソンチケット、CNプレイガイド、JR東日本の主なみどりの窓口・びゅうプラザ、セブンイレブン、サークルK 、サンクス、JTB、イープラス、および東京国立博物館 正門観覧券売場(開館日のみ)にて、2006年7月3日(月)まで販売。
東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を800円(100円割引)でお求めいただけます。正門観覧券売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証をご提示下さい。
交  通 JR上野駅公園口・鶯谷駅より徒歩10分
東京メトロ銀座線・日比谷線 上野駅 、千代田線 根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
主  催 東京国立博物館、日本経済新聞社
特別協力 財団 心遠館
後 援 アメリカ大使館、南カリフォルニア日米協会
協 賛 NEC、日本興亜損害保険
協 力 ロサンゼルス・カウンティ美術館、日本航空、ファースト・デザイン・システム
お問い合わせ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
展覧会サイト http://www.jakuchu.jp/ (オフィシャルサイト)
http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/ (オフィシャルブログ)
オフィシャルサイト・オフィシャルブログは会期終了時をもって終了いたしました。
携帯版サイト
http://jakuchu.jp/(携帯版公式サイト)
携帯版公式サイトは会期終了時をもって終了いたしました。
関連事業
  記念講演会
(1)なぜ、どのように江戸絵画に魅惑されていったのか
平成館 大講堂 2006年7月8日(土) 13:30~15:00 受付終了
講師:ジョー・プライス氏(逐次通訳つき)
(2)「若冲を甦らせた男」
平成館 大講堂 2006年7月29日(土) 13:30~15:00 受付終了
講師:MIHO MUSEUM館長 辻 惟雄 氏
同時開催
親と子のギャラリー「プライスコレクション 若冲と江戸絵画」 ―あなたならどう見る? ジャパニーズ・アート―
会期:2006年7月4日(火)~8月27日(日)
会場:平成館1階 企画展示室
観覧料金:平常展料金でご覧いただけます。
プライスコレクションの8点の作品を展示し、鑑賞ツールや解説を用いて日本絵画をわかりやすく紹介します。
  コンクール
夢の展示プランコンクール 「わたしの心遠館」  受付終了
平成館1階企画展示室で開催の「親と子のギャラリー」展示作品8件の中から好きなものを選んで、その絵を飾って楽しむ夢の展示プランを考えてみてください。すばらしい展示プランを応募された方を親子でカリフォルニアにご招待!
対象:中学校1年生から高校3年生まで
応募締切:2006年8月31日(木)
展覧会の構成と主な展示作品
第1章 正統派絵画
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 江戸時代には、伝統的絵画の制作を行う狩野派や土佐派などの絵師によって、血族あるいは師弟関係を基礎とした流派組織が形成されました。幕藩体制の確立による社会制度の整備を背景に、これら画家集団は「御用絵師」として絵画制作の正統に位置付けられていきました。しかし組織的な絵画制作は、伝統の継承に重きをおくあまり絵画表現が保守的となり、自由な創造力が失われる危険もはらんでいます。これは固定した社会的支持層を持ち、地位の約束された芸術家に背負わされた宿命とも言えるものでした。

本章では、特定の流派様式によって描かれた18世紀前半までの作品を紹介します。時代を代表する絵画様式を示しながらも個性的な自己を主張した優れた作品が収集され、画家の名前よりも作品の表現を重視したプライスコレクションの特徴を見ることができます。
老松小禽図屏風   老松小禽図屏風 (ろうしょうしょうきんずびょうぶ)
伝狩野元信筆
室町~安土桃山時代・16世紀
紙本墨画、2曲1隻
エツコ&ジョー・プライスコレクション


 出品作品の中で最も制作時期の古い作品。襖を屏風に改装したもので、室町時代から江戸時代まで続く狩野派の基礎を築いた狩野元信晩年の様式で描かれている。元信自身ではなくその次世代の狩野派有力画家の筆になる。
春日若宮御祭図屏風
(右隻)
  春日若宮御祭図屏風 (かすがわかみやおんまつりずびょうぶ)
狩野柳雪筆
江戸時代・17~18世紀
紙本着色、6曲1双
エツコ&ジョー・プライスコレクション


 奈良の春日若宮御祭を描いた屏風。興福寺から御旅所(おたびしょ)に向かう社参の行列を一双に連続した画面に描いている。柳雪 は、御所の障壁画や、朝鮮国王へ贈られた屏風の制作に携(たずさ)わった徳川幕府の御用絵師。
第2章 京の画家 展示作品一覧へ
 18世紀後半は、日本文化が史上稀に見る豊かな展開を見せた時代でした。鎖国は、自国の文化を深めていったと同時に、海外の情報に対する渇望が、新しい文化潮流を生み出すことになりました。絵画表現の変革は主に京の町で進んでいきます。幕府の所在地である政治都市江戸に対し、京は御所を中心に公家が伝統文化を伝え、大寺院が優れた文化財を蓄積する文化都市でした。その中で豊かな経済力を手にした商家・職人ら新興町衆の、進取の気性を反映して、伝統を意識しながらも自由で想像力に満ちた絵画スタイルが成立したのです。

その代表画家である円山応挙(まるやまおうきょ)の画風はのちに流派化し、明治期の京都画壇まで継承されていきました。応挙門下には、長沢芦雪(ながさわろせつ)に代表される個性豊かな画家が育っています。この章では、大阪・長崎の画家も合わせて紹介します。
懸崖飛泉図屏風
(右隻)
  懸崖飛泉図屏風 (けんがいひせんずびょうぶ)
円山応挙筆
寛政元年(1789)
紙本墨画淡彩、4曲1隻・8曲1隻
エツコ&ジョー・プライスコレクション


 写生を重んじた応挙だが実景を写したというものではなく、写生を通して培った技法でとらえた個々のモチーフを組み合わせて構成した画面であろう。その平明な画風はやがて四条派へと受け継がれるものである。
白象黒牛図屏風
(左隻)
  白象黒牛図屏風 (はくぞうこくぎゅうずびょうぶ)
長沢芦雪筆
江戸時代・18世紀
紙本墨画、6曲1双
エツコ&ジョー・プライスコレクション


 円山応挙の弟子たちの中でもひときわ異彩を放つ長沢芦雪の面目躍如と言うべき作品。画面からあふれんばかりの白象と黒牛に、2羽の烏と1匹の白い子犬を組み合わせ、黒白と大小の対比を重層的に際立たせている。
第3章 エキセントリック 展示作品一覧へ
 さまざまに新奇な試みがなされた日本の18世紀の文芸や造形における最先端の芸術活動の中でも、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)や曽我蕭白 (そがしょうはく)の絵画は、常軌を逸するほど独特な表現であったということが見てとれます。実はプライス氏が光を当てるまで、私たちは彼らの試みを知らずにいたのです。

ふだん目にする鶏を、伝統的画題である鳳凰のような主題に昇華させた若冲の絵画表現は、単に異端や奇想という言葉でくくり、孤立したものとすることはできません。そこには、現実の事物を伝統的な枠組みに置き換えるという、この時代における最先端の思潮が現れており、若冲たちこそが画壇の主流であったとも見なすことができるのです。
紫陽花双鶏図   紫陽花双鶏図 (あじさいそうけいず)
伊藤若冲筆
江戸時代・18世紀
絹本着色、1幅
エツコ&ジョー・プライスコレクション


 若冲が得意とした鶏図の代表作。自然に対する観察眼と想像力が幻想的世界を生み、極細密の技術が非現実の世界に不思議な生命感を生み出している。家業を離れて画家生活に専念した40代初めの作品。東本願寺に伝来。
鳥獣花木図屏風   鳥獣花木図屏風 (ちょうじゅうかぼくずびょうぶ)
伊藤若冲筆
江戸時代・18世紀
紙本着色、6曲1双
エツコ&ジョー・プライスコレクション


 モザイク画、升目(ますめ)描きと呼ばれその描法で近年注目を集めている作品。落款は無いものの、この描法が若冲によるものであることは間違いない。鳥や動物たちの楽園といった印象を受ける楽しさと描法のユニークさが人を惹きつける。一双で升目の数は、約86,000個。
第4章 江戸の画家 展示作品一覧へ
 徳川幕府の所在地である江戸は、新たに作られた政治都市で、徳川家康が将軍になったとはいえ、当初はまだ独自の文化は誕生していませんでした。しかし将軍のお膝元に集まった武家が人口の半分を占めるこの新興都市は、18世紀には人口100万を超える世界第一の都市となり、武家と町人を担い手として独自の都市文化を生み出していきました。江戸文化を代表するのは菱川師宣(ひしかわもろのぶ)にはじまる浮世絵ですが、プライスコレクションには、いわゆる美人画だけでなく、浮世に生きる人々の姿を生き生きと、時にユーモアたっぷりに描いた作品も多く、その遊びの視線は、達磨(だるま)のような聖者にも向けられています。

「江戸の画家」では、浮世絵を中心に、浮世絵の前史にあたる風俗図 から、江戸文化の余韻が残る河鍋暁斎(かわなべきょうさい) 、柴田是真(しばたぜしん)までの作品に、江戸南画を加えて紹介します。
二美人図   二美人図 (にびじんず)
勝川春章筆
江戸時代・18世紀
絹本着色、1幅
エツコ&ジョー・プライスコレクション


 桜咲く春の明け方、恋文をしたためる遊女の寛いだ室内を描いている。遊女二人の細密で優雅な描写に対し、開け放たれた窓の外は英(はなぶさ)流の淡い水墨によって素朴に描かれている。その対比が春章らしい洗練を見せる作品。
雪中美人図   雪中美人図 (せっちゅうびじんず)
礒田湖龍斎筆
江戸時代・18世紀
絹本着色、1幅
エツコ&ジョー・プライスコレクション


 柴垣の向こうから不意に現れた白無垢姿の女性に、竹叢から銀雪が降り落ちる一瞬を描いている。純白の綸子(りんず)と薄絹の被衣(かずき)、そして煌く粉雪を、胡粉(ごふん)によって巧みに描き出している。湖龍斎の法橋(ほっきょう)時代の傑作である。
第5章 江戸琳派 展示作品一覧へ
 酒井抱一(さかいほういつ)は尾形光琳(おがたこうりん)の画風を慕い、江戸の地に琳派の絵画様式をもたらしました。光琳の絵は典雅な絵画の伝統を踏まえたものであったのに対し、抱一のそれは、琳派の絵画技法を学びながら、四季のうつろいを微妙に感じさせる俳味(はいみ:俳諧のような洒脱な趣)をより強く打ち出して、江戸の人々に受け入れられたのです。

さらに抱一の弟子、鈴木其一(すずききいつ)は、代作をするまで師風を我がものとしましたが、師の没後にその画風を変貌させました。自然の刹那を切り取る視覚や、形と色の対比の巧緻、大胆な画面構成は異彩を放っています。プライスコレクションには、其一の研ぎ澄まされた感性を存分に見ることができる作品が少なくありません。
四季草花図・三十六歌仙図色紙貼交屏風
(右隻)
  四季草花図・三十六歌仙図色紙貼交屏風 (しきそうかず・さんじゅうろっかせんずしきしはりまぜびょうぶ)
酒井抱一筆
江戸時代・19世紀
紙本金地着色、色紙/絹本着色・墨書、6曲1双
エツコ&ジョー・プライスコレクション


 江戸琳派の中心的な存在である酒井抱一が、書画ともに技量を発揮した作品。金地に極彩色で四季の草花や花木を描いて下絵とし、その上に三十六歌仙の色紙を貼り付ける。和歌の筆致には光悦流の書風が見て取れる。
柳に白鷺図屏風   柳に白鷺図屏風 (やなぎにはくろずびょうぶ)
鈴木其一筆
江戸時代・19世紀
絹本着色、2曲1隻
エツコ&ジョー・プライスコレクション


 樹陰の涼を感じさせる初夏の夕べに、優美に羽ばたく白鷺をとらえた瞬間の光景。一瞥すると凍り付いた動きのない画面に見えるかもしれないが、この絵がろうそくの光で照らされれば、画面に揺らぎが生じ、ゆったりと飛び立つ白鷺のすがたが眼前にあらわれる。
展覧会の楽しみ方 プライス邸にて
 カリフォルニアにあるプライス邸では、「太陽光の量を調節するオートマティック・ブラインド」と「横方向からの強い光を和らげる障子スクリーン」によってアメリカ西海岸特有の眩しい光が和らげられ、日本の美を鑑賞するための優しい光に変えられています。

日本美術を鑑賞する際、光の果たす役割は非常に重要である。

これはプライス氏の持論です。従来、美術館における絵画の展示照明には「限りなくフラット」であることが求められてきました。しかし平成館第4室の「光と絵画の表情」のコーナーでは、舞台に使われるような照明装置を使い、「自然光のように変化し、作品に表情を与える陰影ある光」を実現します。この展示空間が、光によって変化する作品の表情を楽しむ、そんな価値観を呼び起こすことができれば試みは成功です。