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創立150年記念特集 
古代染織の保存と修理―50年にわたる取り組み―

  • 『羅道場幡(部分) 正倉院伝来 奈良時代・天平勝宝9年(757) 』の画像

    羅道場幡(部分) 正倉院伝来 奈良時代・天平勝宝9年(757)

    法隆寺宝物館 第6室
    2022年10月18日(火) ~ 2022年12月11日(日)

    奈良・法隆寺には飛鳥時代から奈良時代に製作された多くの染織品が伝えられてきました。その多くは法隆寺献納宝物として明治11年(1878)に皇室へ献納され、戦後、国に移管されて現在は東京国立博物館(以下、東博)が所蔵しています。

    製作からおよそ1300年を経て、染織品の多くは劣化が進み、触ればくずれてしまう状態にある作品も少なくありません。こうした染織品を適切に保存するためには、修理技術とともに、作品の分類や本来の形に関する研究が不可欠です。

    このため、断片化し、複数の作品が相互に混入した状態にある染織品の修理は、文化財修理の中でも困難な分野であり、宝物献納の後もなかなか着手に踏み出せない時期が続いてきました。

    法隆寺献納宝物における染織品の本格的な修理作業がはじまったのは、いまから50年前の昭和47年(1972)です。法隆寺宝物室長の木内武男氏をはじめ、石田茂作氏(文化財保護審議会委員)、山辺知行氏(元東博染織室長)、山本らく氏(共立女子大学教授)、松嶋順正氏(元正倉院事務所保存課長)等の有識者によって修理や保存の方法に関する懇談会が開催され、同年から本格修理が開始されました。

    2022年は本格修理開始から50年という節目の年です。今回の特集では貴重な古代の染織品を適切な状態で未来に伝えるべく行なってきた東博のたゆまぬ努力の軌跡をご覧いただきたいと思います。

主な出品作品

(注)所蔵の表記の無いものは、当館蔵品です。
広東綾大幡 飛鳥~奈良時代・7~8世紀
羅道場幡 正倉院伝来 奈良時代・天平勝宝9年(757)