本館 14室
2020年7月14日(火) ~ 2020年8月23日(日)
博物館には数多くの美術作品が収蔵・展示されています。しかし時を経て、いつ、どこで、誰が作ったのか、わからなくなってしまった作品は少なくありません。また、こうしたことを探究する美術史も、日本では明治時代に入ってから学問として研究が行われるようになりました。この特集では、美術作品がどのように調査研究され、美術史研究が形作られてきたのかを、研究者の調査ノートと実際の作品によってご紹介します。
明治から昭和の先人たちは実際の作品をじっくりと見て、調査ノートに時代や作者、材質や技法といった基本的な情報を記録し、図様を写し、作品の特徴を文字と絵を交えて書き留めました。観察・調査に基づき、時代や作者など不明な点について検討し評価に至る、という行為を連綿と重ねてきたのです。東京文化財研究所や京都工芸繊維大学が所蔵する調査ノートから、目で見て、手で書き写すことからつづられた、日本の美術史研究の確かなあゆみを追体験してみてください。そこに記された内容は作品をより深く理解する手がかりともなります。調査ノートを通して、作品を見る大切さと楽しさを感じていただけたら幸いです。