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東京国立博物館「博物館でアジアの旅」は、今年で9回目を迎える秋の恒例企画です。東洋の美術・工芸・考古遺物が集う「東洋館」を舞台に、毎年独自のテーマを掲げ、それにちなんださまざまな作品を館内随所に展示します。
今年のテーマは「発見」です。19世紀末から20世紀初頭の、ヨーロッパや日本の学術探検隊による発見とその物語、作品にまつわる知られざる発見のエピソード、改めて資料を見つめることで明らかになった新知見など、東洋館に集まったコレクションの伝来をたどりながら、さまざまな「発見」をご紹介します。
東洋館の各展示室では、「発見」にまつわる作品のそばに「博物館でアジアの旅 アジア大発見!」の札を添えています。ご観覧の目印としてお役立てください。
すべて東京国立博物館蔵。展示期間の記載が無い作品は、通期でご覧いただけます。
中国、敦煌莫高窟蔵経洞 五代十国~北宋時代・10世紀 ペリオ探検隊将来品 ギメ東洋美術館交換品
東洋館3室 西域の美術
敦煌莫高窟(とんこうばっこうくつ)は中国西北部の甘粛省(かんしゅくしょう)に位置する中国最大の石窟寺院です。1900年に蔵経洞(ぞうきょうどう)が発見され、1908年にフランス人の探検家ペリオがこの地に赴き、この絵を収集しました。 2枚の麻布を継いで菩薩像2尊を描き、その下に男女の供養者坐像各3体、銘文を書くための欄、そして短冊形があります。また上辺には羂(わな)と呼ばれるパーツが残っており、のれんのように棒を通してこの絵を掛けたことがわかります。
中国、伝陳容筆 南宋時代・13世紀
東洋館8室 中国の絵画・書跡・文人の書斎
激しく波立つ水面、雲や岩の間にからみあって見え隠れする5匹の龍、水量を増して流れ落ちる滝を描きます。歴史に名高い龍の図の名手、陳容(ちんよう)筆と伝えられました。 近年の調査研究により、本作品の兄弟ともいえる作品数点が、アメリカのいくつかの美術館に所蔵されていることが明らかになりました。
中国 明時代・14~17世紀 高橋由一氏寄贈
東洋館4室 中国文明のはじまり
日本における洋画の先駆者として知られる高橋由一は、慶應2年(1865)の冬から翌年の夏にかけて、遣清貿易使節団の一員として清朝の地を歴訪しました。本作品はその際に南京で得たものです。裏面には自らの目でアジアを発見した興奮が綴られています。
中国、ホータン 3~4世紀 大谷探検隊将来品
第一次大谷探検隊が、かつて仏教王国として栄えたホータンで発見したものです。溶けた青銅を型に流し込み、金めっきを施した金銅仏で、西域における最古の作例とされる貴重な作品です。
推定朝鮮 1世紀
東洋館10室 朝鮮の王たちの興亡
獣面の両脇に龍を従えた意匠は発見例が少なく、その起源をめぐって今なお研究者を悩ませ続けています。
中国、敦煌莫高窟 曹氏帰義軍期敦煌・9~10世紀 大谷探検隊将来品
東洋館5室 中国の染織
1912年に大谷探検隊により発見された祭壇の掛布です。吊るための輪が上部に縫い付けられ、幅は270センチメートルを超えます。色は褪せてしまっていますが、1000 年を超えてなお、当初の壮麗さを感じ取ることができます。異なる紋織(もんおり)や染めが施された22種類もの染織品を使用しており、敦煌の仏教荘厳(しょうごん)を伝える貴重な作例です。
中国、敦煌莫高窟 吐蕃~曹氏帰義軍期敦煌・8~10世紀 大谷探検隊将来品
敦煌莫高窟で発見された、幡と呼ばれる仏教荘厳に用いられた旗の断片です。かつては、上部に三角形の幡頭(ばんとう)、下部に細長い裂(きれ)を数枚重ねた幡足(ばんそく)をともなっていたようです。 夾纈(けち)とは、文様を彫った1組の板で裂を挟み、染料を注ぐ染色技法で、少しぼやけた輪郭がその特徴です。
「大明宣徳年製」銘 中国 明時代・宣徳年間(1426~35)
東洋館9室 中国の漆工(2022年10月2日(日)まで展示)
器体に厚く漆を塗って文様を彫り、そこへ色漆を塗り込める填漆(てんしつ)という技法によって、蓋面には松竹梅が表されています。明時代の漆芸を再認識させる貴重な作品です。
中国・越窯 五代~北宋時代・10~11世紀 百瀬治氏・富美子氏寄贈
東洋館5室 中国の陶磁(2022年10月2日(日)まで展示)
呉越国(ごえつこく)が北宋(ほくそう)王朝に納めるためにつくらせた越窯青磁の破片。その窯址は日本人によって発見されました。毛彫りの美しい装飾が見どころです。
中国、黄庭堅筆 北宋時代・11世紀
北宋の能書、黄庭堅の平生の字姿を伝える墓誌銘の草稿です。所狭しと捺(お)された印は、珍重されてきた証。中国書法の名品を鑑賞した近代の日本人も、巻末に眼福の喜びを認(したた)めています。
ベトナム 16世紀 岡野繁蔵氏旧蔵
東洋館12室 東南アジアの陶磁
ベトナムで焼かれた「安南焼(あんなんやき)」のなかでも、赤を基調に緑や金の上絵具で細やかな文様を施したものは日本で「紅安南(べにあんなん)」と呼ばれ、茶陶としての魅力が新たに見出されました。
出品作品36件の画像掲載。「発見」にまつわる作品とその知られざるエピソードについて、さまざまな角度からくわしく解説したガイドブックです。
博物館でアジアの旅2022 調査ノート
今年も、アジアの旅のおともに「調査ノート」をご用意しました。 19世紀末から20世紀初頭に、アジアの各地から日本にもたらされた作品たちは発見のエピソードにあふれています。そんな作品たちと日々向き合う研究員のノートには、、、気づきの書き込みがたくさん! この調査ノート通して、発見の楽しみを追体験してみてはいかがでしょうか。 そして、実際に作品を見て気づいたことを書き残してみましょう。 展示されている作品にもまだまだ発見が隠れているはずです。 また、調査ノートに登場する3作品についてオリジナルスタンプがあります。 ぜひ、展示室をまわってすべてのスタンプを押してみよう!
調査ノートは、期間中[9月21日(水)~10月16日(日)]東洋館インフォメーションでお配りしています(なくなり次第終了)。
また調査ノートは、以下からPDFをダウンロードしてもご覧いただけます。
博物館でアジアの旅2022 調査ノートをダウンロード(PDF,13.9MB)
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特集「中国書画精華―宋代書画とその広がり―」その1「アジア大発見!」
特集「再発見!大谷探検隊とたどる古代裂の旅」その1「トルファン出土裂」
東京国立博物館「博物館でアジアの旅」は、今年で9回目を迎える秋の恒例企画です。東洋の美術・工芸・考古遺物が集う「東洋館」を舞台に、毎年独自のテーマを掲げ、それにちなんださまざまな作品を館内随所に展示します。
今年のテーマは「発見」です。19世紀末から20世紀初頭の、ヨーロッパや日本の学術探検隊による発見とその物語、作品にまつわる知られざる発見のエピソード、改めて資料を見つめることで明らかになった新知見など、東洋館に集まったコレクションの伝来をたどりながら、さまざまな「発見」をご紹介します。
東洋館の各展示室では、「発見」にまつわる作品のそばに「博物館でアジアの旅 アジア大発見!」の札を添えています。ご観覧の目印としてお役立てください。
前漢時代・前2~前1世紀
2022年10月2日
南宋時代・12~13世紀
2022年10月2日
明時代・宣徳年間(1426~35)
2022年10月2日
明時代・16世紀
2022年10月2日
明時代・16世紀
2022年10月2日
明時代・14~17世紀
2022年11月13日
1世紀
2022年11月20日
北宋時代・11世紀
2022年10月16日
南宋時代・13世紀
2022年10月16日
南宋時代・13世紀
2022年10月16日
南宋時代・13世紀
2022年10月16日
唐時代・8世紀
2022年10月23日
五代十国~北宋時代・10世紀
ペリオ探検隊将来品
2022年10月23日
3~4世紀
2022年10月23日
高昌ウイグル期・10~11世紀
2022年10月23日
麴氏高昌国時代・6~7世紀前半
2022年12月4日
吐蕃~曹氏帰義軍期敦煌・8~9世紀
2022年12月4日
吐蕃~曹氏帰義軍期敦煌・8~10世紀
2022年12月4日
吐蕃~曹氏帰義軍期敦煌・8~10世紀
平銀糸
2022年12月4日
曹氏帰義軍期敦煌・9~10世紀
羅(絹)、緯三枚綾(絹)、
経三枚綾地緯六枚綾文綾(絹)、
経四枚綾地緯四枚綾文綾(絹)
2022年12月4日
南宋時代・12~13世紀
2022年10月2日
五代~北宋時代・10~11世紀
2022年10月2日
南宋時代・12~13世紀
2022年10月2日
金時代・12~13世紀
2022年10月2日
朝鮮時代・16世紀
益田鈍翁氏旧蔵
2022年11月20日
朝鮮時代・16~17世紀
2022年11月20日
朝鮮時代・19世紀
2022年11月20日
16世紀
2023年4月2日
15~16世紀
2023年4月2日
唐時代・7~8世紀
2022年11月27日
唐時代・7~8世紀
2022年11月27日
唐時代・7~8世紀
2022年11月27日
ホラズム・シャー朝・1180年代~1220年代
2023年1月22日
アイユーブ朝・13世紀
2023年1月22日
イル・ハーン朝・13世紀中頃~14世紀中頃
2023年1月22日
第3中間期(第22王朝)・前945~前730年頃
2022年10月16日
主な展示作品
すべて東京国立博物館蔵。展示期間の記載が無い作品は、通期でご覧いただけます。
二菩薩立像
中国、敦煌莫高窟蔵経洞 五代十国~北宋時代・10世紀 ペリオ探検隊将来品 ギメ東洋美術館交換品
東洋館3室 西域の美術
敦煌莫高窟(とんこうばっこうくつ)は中国西北部の甘粛省(かんしゅくしょう)に位置する中国最大の石窟寺院です。1900年に蔵経洞(ぞうきょうどう)が発見され、1908年にフランス人の探検家ペリオがこの地に赴き、この絵を収集しました。
2枚の麻布を継いで菩薩像2尊を描き、その下に男女の供養者坐像各3体、銘文を書くための欄、そして短冊形があります。また上辺には羂(わな)と呼ばれるパーツが残っており、のれんのように棒を通してこの絵を掛けたことがわかります。
重要文化財 五龍図巻
中国、伝陳容筆 南宋時代・13世紀
東洋館8室 中国の絵画・書跡・文人の書斎
激しく波立つ水面、雲や岩の間にからみあって見え隠れする5匹の龍、水量を増して流れ落ちる滝を描きます。歴史に名高い龍の図の名手、陳容(ちんよう)筆と伝えられました。
近年の調査研究により、本作品の兄弟ともいえる作品数点が、アメリカのいくつかの美術館に所蔵されていることが明らかになりました。
緑釉龍文軒丸瓦
中国 明時代・14~17世紀 高橋由一氏寄贈
東洋館4室 中国文明のはじまり
日本における洋画の先駆者として知られる高橋由一は、慶應2年(1865)の冬から翌年の夏にかけて、遣清貿易使節団の一員として清朝の地を歴訪しました。本作品はその際に南京で得たものです。裏面には自らの目でアジアを発見した興奮が綴られています。
如来像頭部
中国、ホータン 3~4世紀 大谷探検隊将来品
東洋館3室 西域の美術
第一次大谷探検隊が、かつて仏教王国として栄えたホータンで発見したものです。溶けた青銅を型に流し込み、金めっきを施した金銅仏で、西域における最古の作例とされる貴重な作品です。
獣面装飾付鉄剣
推定朝鮮 1世紀
東洋館10室 朝鮮の王たちの興亡
獣面の両脇に龍を従えた意匠は発見例が少なく、その起源をめぐって今なお研究者を悩ませ続けています。
垂飾 平絹綾夾纈羅裂縫い合わせ
中国、敦煌莫高窟 曹氏帰義軍期敦煌・9~10世紀 大谷探検隊将来品
東洋館5室 中国の染織
1912年に大谷探検隊により発見された祭壇の掛布です。吊るための輪が上部に縫い付けられ、幅は270センチメートルを超えます。色は褪せてしまっていますが、1000 年を超えてなお、当初の壮麗さを感じ取ることができます。異なる紋織(もんおり)や染めが施された22種類もの染織品を使用しており、敦煌の仏教荘厳(しょうごん)を伝える貴重な作例です。
幡 淡茶地花文夾纈平絹・ 淡茶地平絹縫い合わせ
中国、敦煌莫高窟 吐蕃~曹氏帰義軍期敦煌・8~10世紀 大谷探検隊将来品
東洋館5室 中国の染織
敦煌莫高窟で発見された、幡と呼ばれる仏教荘厳に用いられた旗の断片です。かつては、上部に三角形の幡頭(ばんとう)、下部に細長い裂(きれ)を数枚重ねた幡足(ばんそく)をともなっていたようです。 夾纈(けち)とは、文様を彫った1組の板で裂を挟み、染料を注ぐ染色技法で、少しぼやけた輪郭がその特徴です。
松竹梅填漆合子
「大明宣徳年製」銘 中国 明時代・宣徳年間(1426~35)
東洋館9室 中国の漆工(2022年10月2日(日)まで展示)
器体に厚く漆を塗って文様を彫り、そこへ色漆を塗り込める填漆(てんしつ)という技法によって、蓋面には松竹梅が表されています。明時代の漆芸を再認識させる貴重な作品です。
越窯址採集陶片
中国・越窯 五代~北宋時代・10~11世紀 百瀬治氏・富美子氏寄贈
東洋館5室 中国の陶磁(2022年10月2日(日)まで展示)
呉越国(ごえつこく)が北宋(ほくそう)王朝に納めるためにつくらせた越窯青磁の破片。その窯址は日本人によって発見されました。毛彫りの美しい装飾が見どころです。
行書王史二氏墓誌銘稿巻
中国、黄庭堅筆 北宋時代・11世紀
東洋館8室 中国の絵画・書跡・文人の書斎
北宋の能書、黄庭堅の平生の字姿を伝える墓誌銘の草稿です。所狭しと捺(お)された印は、珍重されてきた証。中国書法の名品を鑑賞した近代の日本人も、巻末に眼福の喜びを認(したた)めています。
重要美術品 紅安南唐草文茶碗
ベトナム 16世紀 岡野繁蔵氏旧蔵
東洋館12室 東南アジアの陶磁
ベトナムで焼かれた「安南焼(あんなんやき)」のなかでも、赤を基調に緑や金の上絵具で細やかな文様を施したものは日本で「紅安南(べにあんなん)」と呼ばれ、茶陶としての魅力が新たに見出されました。
ガイドブック
博物館でアジアの旅 アジア大発見!
出品作品36件の画像掲載。「発見」にまつわる作品とその知られざるエピソードについて、さまざまな角度からくわしく解説したガイドブックです。
編集・発行:東京国立博物館定価:550円(税込)
全16ページ(オールカラー)
調査ノート
博物館でアジアの旅2022
調査ノート
今年も、アジアの旅のおともに「調査ノート」をご用意しました。
19世紀末から20世紀初頭に、アジアの各地から日本にもたらされた作品たちは発見のエピソードにあふれています。そんな作品たちと日々向き合う研究員のノートには、、、気づきの書き込みがたくさん!
この調査ノート通して、発見の楽しみを追体験してみてはいかがでしょうか。
そして、実際に作品を見て気づいたことを書き残してみましょう。
展示されている作品にもまだまだ発見が隠れているはずです。
また、調査ノートに登場する3作品についてオリジナルスタンプがあります。
ぜひ、展示室をまわってすべてのスタンプを押してみよう!
調査ノートは、期間中[9月21日(水)~10月16日(日)]東洋館インフォメーションでお配りしています(なくなり次第終了)。
また調査ノートは、以下からPDFをダウンロードしてもご覧いただけます。
博物館でアジアの旅2022 調査ノートをダウンロード(PDF,13.9MB)
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特集「中国書画精華―宋代書画とその広がり―」その1「アジア大発見!」
特集「再発見!大谷探検隊とたどる古代裂の旅」その1「トルファン出土裂」