国宝 寛平御時后宮歌合 (部分)
伝宗尊親王筆 平安時代・11世紀
本館 2室
2025年11月26日(水) ~ 2025年12月21日(日)
平安時代9世紀以降、宮廷貴族の間では、歌人が左右の組に分かれて同じ題で和歌を詠み、その優劣を競う「歌合」が行われました。「寛平御時后宮歌合」は、宇多天皇(867~931)の母で皇太后となった班子女王(833~900)が、寛平年間(889~898)に催した歌合です。春・夏・秋・冬・恋の5題、各20番の取り組みで計200首からなり、紀友則や紀貫之などの当代を代表する歌人が名を連ねています。
この巻物は、関白の藤原頼通 (992~1074)が編纂させた歌合集「十巻本歌合」のうち、巻4の前半部にあたります。「十巻本歌合」はもとは近衞家に伝来し、付属の歌合目録(京都・ 陽明文庫蔵)によって、46の歌合を10巻にまとめたことが知られます。未装飾の料紙には随所に加筆訂正の跡があり、清書ではなく草稿と考えられています。
本作の筆者は、「十巻本歌合」を分担書写した10数人のなかでも、多くの歌合の書写・校訂に加えて歌合目録も担当しており、編纂事業における中心的な存在であったとみられます。その書きぶりは、文字内の余白を広くとり整った形で、平明で読みやすく、優美な趣を湛えています。仮名の美しさが最高峰に達した平安時代11世紀の名筆を存分にご堪能ください。
| 指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
| おすすめ | 国宝 | 寛平御時后宮歌合 | 1巻 | 伝宗尊親王筆 | 平安時代・11世紀 | B-20 |