国宝 慧文大師像(部分) 平安時代・11世紀 兵庫・一乗寺蔵
本館 2室
2020年2月11日(火) ~ 2020年2月24日(月)
この肖像画は、中国の高僧慧文(えもん)を描いています。もともとはインド、中国、日本の天台宗に関わりのある高僧9人と聖徳太子の姿を描いた10幅のうちの1幅です。その10人の中に、中国で成立した「天台九祖(てんだいくそ)」に入っていない密教僧の善無畏(ぜんむい)が入っている点や、天台宗が拠所とする『法華経』の注釈書を日本で初めて著した聖徳太子が含まれている点に、密教も重視した日本天台宗の独自性がうかがえます。ここに描かれる慧文(生没年不詳)は中国南北朝時代(439–589)の高僧で、天台宗の教学の基礎となる思想を悟ったと言われます。その思想を基として天台宗を開いた天台大師智顗(ちぎ)は慧文の孫弟子にあたります。
はみ出さんばかりに画面いっぱいに描かれた人物像は、のびやかでありながらも強さのある描線で、しっかりとした骨格と量感を感じさせます。色数は多くないものの、白味をおびた明るくやわらかな色彩感覚が特徴的です。特に、赤い着衣には、ハイライトとなる白色をベースにして、橙、赤と順に濃い色を重ねて微妙な諧調と衣の立体感を生み出しています。この表現は、平安中期の仏画に特有の、洗練された色彩感覚と彩色技術をよく示しています。
指定 | 名称 | 員数 | 作者・出土・伝来 | 時代・年代世紀 | 所蔵者・寄贈者・列品番号 | 備考 | |
おすすめ | 国宝 | 慧文大師像 | 1幅 | 平安時代・11世紀 | 兵庫・一乗寺蔵 |