文化財を、次世代へつなぐために。

―子どもと保護者に向けた東博の取り組み―

  •  海外のミュージアムへ行くと、展示室で作品について自由闊達に意見を交わす子どもたちの楽しそうな光景をよく目にします。博物館教育課が実施している「トーハクキッズデー」では、まさにその光景が当館で広がります。文化財を次世代につないでいくため、学校向けのプログラムや高校生向けのキャリア講座、子ども向けのワークショップなど、多数のプログラムを継続的に実施しています。

     当館では、2024年度に「子育て世代の来館者・非来館者調査」を行いました。その結果をできる限り反映して企画したのが、「あそびばとーはく!」です。0歳から小学生の子どもたちが、遊びながら楽しく日本の文化にふれ、会場内には授乳・おむつ替えスペースや水分補給スペース、カームダウンスペースなどを設けて、保護者が子どもと一緒に来館しやすい環境づくりに部署横断で取り組みました。この企画が契機となり、本館地下1階に授乳室、平成館1階にファミリースペースが新設され、ミキハウス様より多大なご支援を賜ることになりました。

     子どもたちが文化財に関心を持つ機会を得られないまま、その楽しさや大切さをしることなく成長してしまうことに、私たちは危機感を抱いています。東京国立博物館2038ビジョンのなかで「子どもが楽しめる場づくり」と掲げたのは、そのような背景があります。もし、展示室で子どもたちが作品についてお話をしていたとしたら、よほどの大声でない限り、どうか温かい目で見守っていただけたらと思います。そのことが、未来の文化財を守ることにつながるものと信じています。

    社会連携グループ 子どもファースト推進チーム
    小島佳(こじまけい)

カームダウンスペース:音や光などの刺激にストレスを感じたり、緊張や不安が高まったりした時に、心を落ち着かせるための場所
  • 2026年「あそびばとーはく!」会場風景(会期は終了しました)©佐藤基

  • 平成館 ファミリースペースの内部。授乳・おむつ替えスペースなども設置しています