4保存修復
博物館の活動は、展示や催し物、文化財の調査研究や保存、情報アーカイブなど、多岐にわたります。
当館の多様な活動に関わる人たちの仕事を、さまざまな角度からご紹介します。

佐藤萌(さとうもえ)
保存修復室研究員
(染織品保存修復)

子どもたちへの絵本選びや読み聞かせが日々の癒しです。

作品にあわせた修復と保管方法で
文化財を未来へ継承する

 当館が収蔵する染織品(せんしょくひん)の保存と修復に携(たずさ)わっています。作品の保存状態を確認し、展示のために必要な処置を行い、展示後に作品が置かれる収蔵環境を改善し、次世代に作品を伝えていくことが主な仕事です。

 経年劣化(けいねんれっか)や取り扱いにより生じた染織品の皺(しわ)やほつれは、美観を損ねるだけでなく、繊維の劣化を促す要因となります。9年ぶりの展示となる「錦寿星図軸」は、表装の浮きが著しく、茶色の絹糸の剥離(はくり)が進行し、巻き皺が生じていました。平置き展示が可能であったため、皺伸ばしや剥離止めなど最小限の処置を装(そう)こう担当と協力して実施しました。展示後は太巻きを作成し、専用の中性紙保存箱に収める予定です。

太巻き:作品を巻く径を太くする部材で、収納時の巻き皺緩和となります。

(注)本館17室では、当館で行っている修理の事例などを紹介しています。

  • 表装の浮きを止める様子
    (装こう担当:桐原瑛奈)

  • 茶色の絹糸の剥離止めを行う様子

  • 錦寿星図軸(にしきじゅせいずじく)
    清時代・18~19世紀 中国
    東洋館5室 3月23日(日)まで