1調査研究
博物館の活動は、展示や催し物、文化財の調査研究や保存、情報アーカイブなど、多岐にわたります。当館の多様な活動に関わる人たちの仕事を、さまざまな角度からご紹介します。

西木政統(にしきまさのり)
登録室主任研究員(日本彫刻)

4才児の子育てと仕事の両立を目指して奮闘中。

肉眼では見えない、
仏像の内部を読み解くCT撮影

 博物館の使命のひとつに、収蔵品の調査研究があります。その手法には科学分析も取り入れており、たとえば立体作品なら、さまざまな物質を透過するX線を用いたCT撮影が有効です。

 この阿弥陀如来立像(あみだにょらいりゅうぞう)は、螺髪(らほつ)と呼ばれる髪の毛が、木に撚(よ)った針金を巻いて1粒ずつ植つけられること、後頭部には金属板を丸めた筒が2本埋め込まれることが、特集展示の事前調査でわかりました。後頭部の筒は、かつて支柱を使わずに光背をつけるために埋め込まれたのでしょう。足裏に仏の特徴である文様を描くことでも知られますが、あわせて仏の実在感を演出する工夫とみられます。螺髪に針金が用いられる点はすでに指摘がありますが、CTではより明瞭に観察できます。

  • X線CTの撮影風景

  • 頭部のX線CT画像と螺髪(針金部分)の拡大画像

    X線CT画像作成:宮田将寛