コラム8
文化財がもつ力を、能登のために。
―「ひと、能登、アート。」 文化財(アート)がつなぐ。Art for the Noto Peninsula
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2024年1月に発生した能登半島地震、さらに同年9月の奥能登地域における豪雨災害により被災された皆様に寄り添うべく、復興を支援する想いを込めた事業を2025年度に当館が主体となって実施しました。この取り組みは展示・映像・普及の3事業で構成されており、今回はそのうちの普及事業についてご紹介します。
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普及事業では、能登(石川県)ゆかりの国宝「松林図屛風」の高精細複製品等を使用した訪問授業を、輪島市、七尾市、志賀町に所在する小中学校等教育機関・計16校で実施しました。復興途上の厳しい環境のなかで、授業の実施を希望してくださった学校の皆様に感謝を申し上げます。
今回、参加する児童・生徒の皆様たちが生まれ育った能登出身である長谷川等伯が描いた作品の複製を身近でみることによって、文化が自分たちの今につながるものであることを実感し、未来に受け継いでほしい、そうした思いを込めて普及事業(鑑賞プログラム)を実施しました。高精細複製品の鑑賞では「何が描かれているようにみえるか」「描かれていないけれど感じるものはあるか」を引き出すための問いに対して、児童・生徒の皆様は自分がみえたものや感じたことを、その学年なりの豊かな日本語表現を用いて意見を伝えてくれました。さらに周囲の意見を受容して思考を深めることにより、意見の多様性を実感した様子もうかがえました。
この鑑賞体験が、長い歴史のなかで人々の生活が育んできた「地域の文化」を守り伝える心を育む機会となれば、そしてみて、感じて、考えた体験が生きる力になることを願っています。
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プログラムを通じて、多くの気づきが我々にもありました
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鑑賞体験後は、思い思いの「松林図」をスタンプで表現してもらいました
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事業には当館のさまざまな部署の職員が参加し、各校で協力して授業を実施しました