創立150年記念事業

動画

動画「仁王像 ざっくり知る! 東京国立博物館の金剛力士立像」

2022年9月27日(火)~

YouTubeほか

動画概要

「仁王」とは、正式名称を金剛力士といい、お寺の門の左右に立って邪悪なものの侵入を防ぐ守護神のことを指します。

今回の動画では、東京国立博物館創立150年の節目に新たに収蔵された「金剛力士立像(仁王像)」をざっくりご紹介します。当館の新たなスター「仁王像」の魅力と、知られざる復活の物語をぜひご覧ください。

2022年10月18日~12月18日に開催する東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」では、この「仁王像」を最新の所蔵品として初めて展示します。その力強い迫力を間近で体感してください。

動画「仁王像 ざっくり知る! 東京国立博物館の金剛力士立像」

制作者からのコメント

熊田かほり 琵琶奏者

東京国立博物館創立150周年、心よりお祝い申し上げます。
東博は、いつ訪れてもドキドキする宝物に満ち溢れていて、時を忘れて過ごしてしまう…幼い頃から何度も通った、大好きな場所です。
この度、新たに金剛力士立像が収蔵されるとお聞きして、撮影時に拝見できることをとても楽しみにしていました。
その修復された姿と対面し…力強さの中にも、これまで辿ってきた数々の困難な軌跡を感じました。
琵琶という楽器は『平家物語』に代表されるように、その音色にのせて栄枯盛衰を物語る楽器なのですが、まさにこの仁王像の数奇な運命を表現するに相応しいのではと感じつつ、心を込めて演奏させていただきました。
東博のメモリアルイヤーに、このような形で関わらせていただけたことに、心から感謝を申し上げます。

 

Nord Yuki イラストレーター

実際に金剛力士立像を描かせていただき、特に興味深く感じたことは、阿形の「あ」と叫ぶ様子を表現した口の大きさが、見た目の印象よりもずっと小さかったことです。小さくても十分に怒りの表現がなされていて、昔の方々の卓越した表現に驚きました。また、みぞおちから脇腹にかけてのボコボコとした筋肉の表現も、独特だと感じました。試しに現代のボディビルダーのような体型を当てはめて描いてみたのですが、貫禄がまったく無くなってしまいました。少しぷっくりとしたお腹の表現も、“仁王様”らしさを表すための手法なのだと知り、本当に勉強になりました。
文化財に接するときにはいつも畏れや感謝、そして浪漫を感じます。東京国立博物館でその感覚を体験できるのは多くの方々のご尽力のお陰だと思います。
創立150周年、おめでとうございます。そして、ありがとうございます。

 

松村亮一
株式会社コーデックス動画・ディレクター

今回、新しくトーハクに仲間入りする仁王像(金剛力士立像)の動画を制作させていただく中で、ディレクターとして強く実感したのは、博物館は作品を通して「人の思い」が集まる場所なんだなぁ、ということでした。
今回の仁王像だけでも、像を彫った人、守り続けたお寺の方、一度壊れた像を修復した仏師、直した像を壊さず博物館へ運んだ人、その価値や意味を研究する人、魅力を世に発信する人。そして長い間(850年!)にわたってお像に祈りを捧げた人々の思い。
改めて見渡せば一つ一つの収蔵品に、それぞれの物語があるのだと思います。
「どうやって運んだのか」とか「どこを修復しているのか」とか、そんなことを考えながら見ると、あと150年あっても時間が足りないなと思います。