創立150年記念事業

展示

チベット仏教の美術―皇帝も愛した神秘の美―

2022年7月26日(火) ~ 2022年9月19日(月)

平成館企画展示室

展示概要

7世紀ごろ、ヒマラヤ山脈の北側に広がるチベットにインドから仏教が伝えられました。以来、インド仏教を忠実に継承しながらも独自の発展をみせ、洗練された仏教文化が栄えてきました。チベット仏教は高度な仏教思想や神秘的な儀礼で知られ、儀礼で用いる数多くの仏像や仏画、特色ある法具が伝わっています。モンゴルや中国など周辺地域でもチベット仏教が広く信仰され、清時代の歴代皇帝、とりわけその最盛期を築いた乾隆帝(けんりゅうてい、在位1735~95)が傾倒したことはよく知られています。北京やその周辺には、現地から多数の僧侶や職人が招かれ、本格的なチベット仏教寺院が建立されました。

日本との直接的な交流は近代までありませんが、日本人として初めてチベットを訪れた僧河口慧海(かわぐちえかい、1866~1945)の旅行記を契機として、チベット仏教が注目されるようになります。東京国立博物館でも、創立以降さまざまな機会にチベットに関連した資料を収集してきました。この特集では、なかでも絵画・彫刻・工芸・書跡の各分野を代表する優品を、慧海のご遺族からの寄贈品の一部とともに紹介します。当館のチベット仏教関係資料をまとめてご紹介するのは、1999年の東洋館開館30周年記念特集「河口慧海将来品とラマ教美術」以来、約20年ぶりです。ぜひこの機会にチベット仏教の美術に親しんでいただければ幸いです。

おすすめ作品

チャクラサンヴァラ父母仏立像
中国・チベットまたはネパール
15~16世紀
服部七兵衛氏寄贈

チベット式仏塔
中国
清時代・19世紀
横河民輔氏寄贈

ツォンカパ伝
中国
清時代・18~19世紀
(~ 2022年8月21日まで展示)