「モノ好き」さん達にありがとう
このブログを書くにあたり、関秀夫さんの『博物館の誕生』(講談社2005年)を読み返しました。
この本は、トーハクが誕生するまでの歴史を、町田久成さん(トーハクの初代館長さんです)にスポットを当てて描いた本です。
明治初め幕末の混乱収まりきらない時代に、様々な思惑に翻弄されながらもそれらを巧みに利用し、
歴史的文化財を中心とした博物館の創設に奔走する様子が、とても読みやすく記されています。
「町田久成の碑」と筆者
本館北側に広がる庭園(年2回 春と秋に公開)にて
さて。
トーハクには数多くのモノ(展示物、建築物、書物、苦しいですが植物も)があります。
トーハクが好きで来館されるお客様も、この場所が好きで働いている職員もみんな「モノ好き」なんだろうなと
勝手に思っています。
私も「モノ好き」で、昼休みには時々総合文化展を見に行きます。
時間内にすべてを見ることはできないので、少しずつなのですが、毎日行くほどマメでもないので、
ひととおり見終わるころには、最初に見たあたりが別の展示になっていたりして、ほとんど飽きることはありません。
資料館にも時々お邪魔します。
書棚から面白そうな本を持ってきては読むのですが、読み進むうちに一行飛ばし二行飛ばし、そのうち行を飛ばしていることも分からなくなって・・・午後の仕事への英気を養うことができます。
資料館
さきの町田さんも「モノ好き」のお一人だったようです。
芸者さんの持っていた琴の名品が気に入り、再三通って交渉したけれど譲ってもらえず、終いには琴を持っている芸者さんごと身請けして琴だけ手元に残した、なんて話が伝わっているそうです。
何なんでしょうね。
でも、だからこそ「モノ好き」に愛される場所ができたのかなとも思います。
もちろん町田さんだけでなくその後も多くの「モノ好き」が育んできたからこそ、今のトーハクがあるのでしょう。
来館されるお客様、職場の皆さん、トーハクを支え育んできた先人たち、そして町田久成さん、
すべての「モノ好き」さん達に心からありがとう。
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posted by 藤井義範(経理課経理担当) at 2012年06月22日 (金)