「空海と密教美術」展(~2011年9月25日(日))はおかげさまで 入場者40万人達成いたしました。
これまでご来場いただいたお客様に、心から感謝申し上げます。
さて、今回は展示のご紹介ではありません。
トーハクで堪能できるのは、美しい美術品だけではありません。
ご観覧の前や後、お食事やお茶を楽しむことのできるレストランで
「空海と密教美術」展、開催期間中だけ楽しむことのできる特別メニューのご紹介です。
東洋館別棟1階 ホテルオークラレストラン ゆりの木の期間限定セットメニューは3種類。
それぞれセットで各2,000円。
セットにはメイン料理とともに、嬉しくなるようなサイドメニューがついてきます。
爽やかなシソの風味と、ピリリと効いた一味が絶妙な
「国産牛のハンバーグおろしポン酢仕立て」
ライス又はパンとデザート、食後にうれしいコーヒー又は紅茶がセットになっています。
観覧のためのエネルギー補給におすすめの
「鰻と鱧の涼味膳」
九州産の鰻と鱧を使った和食膳です。
ミニ鰻丼、鱧の天婦羅、冷し素麺に香の物、黒酢ところてんなど、残暑を乗り切るのにぴったりのメニューです。
食欲をそそるピリ辛スープと、たっぷりの挽肉で愉しむ
「冷し坦々麺セット」
シュウマイと春巻のほかに、女性に大人気の杏仁豆腐 又は マンゴープリンのデザート付です。
そして、観覧後の楽しいおしゃべりのお供に、「空海」をイメージしたスイーツはいかがでしょうか。
「空」と「海」を連想させる青い部分がレモンゼリー。
白い雲や波を思わせるヨーグルトムースとチーズクリームのハーモニー。
爽やかな味とするっとしたのど越しが魅力です。
単品で400円、 コーヒー付のセットで850円です。
会期終了まで残りわずか。
特別展とともに、レストランゆりの木 特別メニューもお楽しみください!
カテゴリ:2011年度の特別展
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posted by 広報室Web担当 at 2011年09月16日 (金)
「空海と密教美術」展は、2011年9月13日(火)午後、40万人目のお客様をお迎えいたしました。
これまでご来場いただいたお客様に、心から感謝申し上げます。
40万人目のお客様は、東京都世田谷区からお越しの山木房子さん(85歳)です。
お嬢様の山木康子さんと一緒に来館されました。
東京国立博物館 銭谷眞美館長より、展覧会図録と密教展オリジナルグッズを贈呈いたしました。
左から、山木康子さん、山木房子さん、銭谷眞美館長
2011年9月13日(火) 東京国立博物館平成館にて
房子さんは開催前より前売り券をご購入くださっていたそうで、
「小説をきっかけに空海に関心を持つようになりました。
特に風信帖は本物をぜひ見てみたいと思ってきました」とのこと。
また、書道をたしなんでいらっしゃるため、書の展示作品に関心をお持ちのほか、
仏像もお好きとのことで、本展のあとには特集陳列「運慶とその周辺の仏像」(~2011年10月2日(日))
にも、あわせて立ち寄る予定とのことでした。
山木房子さん、康子さん、ありがとうございました。
「空海と密教美術」展は、2011年9月25日(日)まで開催しています。どうぞお見逃しなく!
カテゴリ:news、2011年度の特別展
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posted by 広報室員 at 2011年09月13日 (火)
「空海と密教美術」展の魅力を知り尽くした、展覧会の担当研究員に直撃インタビュー。題して、「空海と密教美術」展の楽しみ方。仏像トークはまだまだ続きます。シリーズ(3)-1 彫刻の前半インタビューにつづく、後半をご覧ください。
『現代人は草食系がお好き?』
広報(以下K):研究員から見た、「密教の仏像を楽しむポイント」を教えてください。
丸山(以下M):まず「仏像曼荼羅」については、「お像と同じ高さの目線で見られる」こと。会場ではステージの上から全体を見渡せるので、宇宙のような曼荼羅の空間を体感していただけることと思います。次に「お像を360度から見られる」こと。どの角度から見ても美しく、新たな発見があります。また展示に関しては、「お像をより近くで」ご覧いただけるように心がけました。今までは気がつかなかったような細部の模様や、きれいなお顔立ちをご堪能いただけることと思います。
K:お顔といえば、現在東博ウェブサイト「仏像曼荼羅」人気No.1は?では、やはり帝釈天が大人気で堂々第1位です。
M:えーどうしてかなあ?!他のお像ももっとよく見てくださいよ!!
K:ええ、でも好みは人それぞれですから…
M:最近の日本人はすっかり草食系イケメンに傾倒しているようですが、金剛業菩薩の表情や体つきも見てみてください。均整のとれた筋肉に端整な顔立ち。さながらハンマー投げ選手のようでとても美しい。
国宝 金剛業菩薩坐像(五菩薩のうち) 平安時代・承和6年(839) 京都・教王護国寺(東寺)蔵
K:確かにがっちりしたお体をしていらっしゃいます。投票第2位の持国天もどちらかといえばマッチョですね。
M:いやいや、まだソフトな方ですよ。ハードなのは梵天。大変良い体つきをしています。欧米の方が投票したらきっと梵天が上位に入るはずです。
国宝 梵天坐像 平安時代・承和6年(839) 京都・東寺蔵
K:確かに、国や時代によって好みは変化するかも知れません。なるほど、「仏像曼荼羅」はこういう観点で楽しんでも良いのですね…。
そういえば、個人的に気になったことがあります。東寺であれば大日如来がいらっしゃるあたり(展示室中央)にスポットが当たっているようですが、あの照明は意図されているのですか?
M:してません(あっさり返答)。あれは全体照明です。
K:そうですよね…失礼いたしました。たまたまあの光の中に入って全体を見回したとき、なんだか周りの仏像に護られているような、それでいて責任が重いような、そんな感じを抱いたので、つい…。
M:あぁ、そうかもしれませんね(再びあっさり)。
『世紀の大発見?!』
M:あとは、お像の足元にもご注目ください。邪鬼だけでなく、がちょう、象、馬、鳥など、たくさんの動物が活躍しています。私のおすすめは、醍醐寺の重要文化財 大威徳明王(五大明王像のうち 作品No.96 全期間展示)が乗っている水牛です。
K:本当にかわいいですよね!愛らしいまんまるの目に虜になった方も多いと思います。
M:足元といえば!私は今回の展示で、ある大発見をしてしまいました。新説があるので聞いてくれますか?私はこれでノーベル美術賞(注:そんな賞はありません)をとれると思っています。
K:どきどきしますね!どんなことですか?
M:国宝 兜跋毘沙門天立像(作品No.24 全期間展示)を下で支えている地天女。その両脇にいる二鬼にご注目ください。
国宝 兜跋毘沙門天立像 唐時代・8世紀 京都・東寺蔵
左側が毘藍婆(びらんば)、右側が尼藍婆(にらんば)です。
これらの邪鬼と、和歌山・金剛峯寺蔵の国宝 八大童子立像(出品作品ではありません。画像は高野山霊宝館ウェブサイトをご覧ください)を見比べてみます。すると共通点があるのが分かります。
毘藍婆
毘藍婆と恵光童子(えこうどうじ)は、髪型が酷似していると思いませんか?強いまなざし、眉毛の形、表情、輪郭など、全体の印象がそっくりです。
尼藍婆
一方尼藍婆は、その特徴である太い眉や、きゅっと噛み締めた唇から飛び出した犬歯などが、そのまま清浄比丘童子(しょうじょうびくどうじ)に備わっているような気がします。
八大童子立像は、仏師・運慶が統率して制作されました。運慶は仏像修理のため東寺を訪れていますので、その際にこれを見て影響を受けたのではと考えます。
どうですか?似ているでしょう?
K:うーん…確かに、似ているところは似ていますね。
M:そうでしょう?他の研究員からは「似てないよ」と言われたのですが、絶対に世紀の大発見だと思っています!
K:仏像をいつも近くで見ている丸山さんだからこそ、この2つが繋がったのですね。それがとてもすごいと思います。世紀の大発見!かどうかは私には分かりませんが、そのような新たな説を伺うことが出来て、なんだかとても嬉しいです。もう一度、兜跋毘沙門天をきちんと見てみようと思います。
丸山さん、どうも有難うございました!
日本に真言密教を伝えた、空海の熱き思い。そして今、その息吹を感じ取ることが出来る「空海と密教美術」展。この貴重な展覧会は9月25日(日)までです。ぜひお早めにご来館ください。
専門:彫刻 所属部署:博物館教育課 教育講座室長
図録を見比べながら、「ノーベル美術賞(注:ありません)受賞の連絡、まだこないなあ…」とつぶやく。子煩悩系研究員の一人。
「空海と密教美術」展の楽しみ方シリーズはこれで終了です。どうも有難うございました。
カテゴリ:研究員のイチオシ、news、彫刻、2011年度の特別展
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posted by 小島佳(広報室) at 2011年09月03日 (土)
密教美術初心者代表・広報室員が専門の研究員に直撃取材する、『「空海と密教美術」展の楽しみ方』。
第3回目のテーマはいよいよ「彫刻」です。今回は、彫刻が専門の丸山士郎研究員にインタビューしました。
展覧会開催まで、実に7年もの歳月を費やしたという本展覧会。本当に豪華な、夢のようなラインナップとなりました。今回はその中でも、展覧会の最後を締めくくる「仏像曼荼羅」について聞いてみます。
『大切なあなた』
広報(以下K):「仏像曼荼羅」を初めて拝見したとき、そのかっこよさに思わず「わぁーっ」と歓声をあげてしまいました。展示空間が、仏像のエネルギーで満ち満ちています。興奮冷めやらぬまま会場を後にした方も多いのではないでしょうか。
さて、教王護国寺(東寺)からこれだけ多くの仏像が一気にお堂を出るのは初めてと伺いましたが、これらの8体はどのような基準で選ばれたのでしょうか?
東寺講堂の諸像8体による仏像曼荼羅(イメージ)
丸山(以下M):東寺講堂には全部で21体の仏像があります。中央に「如来」が5体、その右側に「菩薩」5体、左側に「明王」5体、そして周囲を「天部」がかためています。
本展覧会は<空海ゆかりの作品>がキーワードですので、空海の時代につくられたのではない「如来」はリストに入れませんでした。「菩薩」と「明王」に関しては、制作当時の表現が色濃く残り、かつ状態の良い2体を選びました。「明王」はさらに、姿が面白いお像という点もポイントでした。あとはこちらからの希望をお伝えし、お寺側にご承諾いただいたという経緯です。
K:そうやってこの8体が選ばれたのですね!この中で特に思い入れのある仏像はありますか?
M:やはり、持国天立像です。私の仏像人生の中で、エポックメイキング的な存在ですから。
国宝 「持国天立像(四天王のうち)」
K:それはどうしてですか?
M:学生の頃に初めて持国天立像と出会ったのですが、それまではどの仏像を見ても、迫力という意味においては西洋の彫刻に負けてしまうような気がしていました。しかし東寺の持国天立像は立体のとらえ方が素晴らしいですよね。迫力も西洋彫刻に負けていません。とても感銘を受けたわけです。
K:そんな特別なお像だったなんて!ある意味丸山さんの仏像人生を決定づけたといっても過言ではありませんね!
確かに造形的な意味でも目を引く作品ですね。正面から見たときには気付かなかったのですが、左斜め後ろ側から見たときに、衣がこちら側にたなびいているのがよく分かり、向こうから風が吹いているのだと感じました。
M:そうなんです。正面からだけでなく様々な角度から見ても、仏像に動きがあり見事ですよね。そういう発見があるのも、この展示の楽しいポイントです。
『マンダラのパワー、今も昔も』
K:御請来目録には、「密教の教えは奥深く、文章で表すことは困難である。かわりに図画を借りて悟らないものに開き示す」とあります。東寺講堂の立体曼荼羅は、そういう経緯でつくられたものだと思います。これらの仏像は本当に勢いがあり、その造形のかっこよさに心を奪われてしまったのですが、立体曼荼羅に込められた教えとはどういうものなのでしょうか?
図録では、立体曼荼羅は「金剛頂経」という経典の考えに空海の考えも加えて構成されたと考えられる、とありますが、そもそもこの「金剛頂経」とはどういうものなのですか?
M:初歩的な理解ですが、仏の智慧の世界「金剛界」を明らかにするもので、「即身成仏」へと導くためのお経です。「即身成仏」とは、真言密教の中心となる信仰で、人は誰でも現在の身のまま悟りを開くことができるという考え方です。「金剛頂経」にはそのための修法が書かれているだけで、端的に「密教の教えはこういうものです」という書き方はされていません。重要なのは、曼荼羅から何を感じ取るか、ということだと思います。
「仏像曼荼羅」を見て、どう思いましたか?
「仏像曼荼羅」会場風景
K:なんだかグッと来ました。上手く言葉に出来ませんが。
M:そうですよね、グッと来るのです。東寺講堂は、当時お坊様たちの修行の場でしたので、現在のように広く一般に開かれた場ではなく、一部の人間しか見ることは出来なかったと思われますが、やはり同じようにグッと来たはずです。ビジュアル的なアピール力がある。空海にとって曼荼羅とは『仏が森の木のように整然と並び、赤や青に輝いている』のだそうで、その世界が本当によく表れています。
K:赤や青に輝く…。そういえば仏像を良く見ると彩色がまだ残っている部分がありますね。
M:それを元に、頭の中で当時の彩色の再現をしてみると、確かに鮮やかな色に溢れ、輝いているように感じます。
(さらに盛り上がったインタビュー後半は近日公開します。どうぞお楽しみに)
カテゴリ:研究員のイチオシ、news、彫刻、2011年度の特別展
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posted by 小島佳(広報室) at 2011年08月29日 (月)
後期の見どころ紹介「孫文と梅屋庄吉―100年前の中国と日本」
本館特別5室で開催中の特別展「孫文と梅屋庄吉―100年前の中国と日本」(~2011年9月4日(日) )も、いよいよ後半をむかえました。
8月15日(月)の閉館後に陳列替えを行い、およそ115点の作品を一新しました。
後期(8月16日(火)~)の展示から、主な作品を紹介いたします。
(左)天安門「北京城写真」より 小川一眞撮影 光緒27年(1901) 東京国立博物館蔵
(右)現在の天安門
光緒27年(1901)に写真師小川一眞が撮影した天安門の姿です。
当時、北京は義和団事件後の占領下にあり、慈禧皇太后(西太后)と光緒帝は西安に逃れていました。
小川一眞は紫禁城の建築の調査を主な目的とした伊東忠太ら、東京帝国大学の北京城調査に同行し、清朝末期の北京城の姿を撮影しました。
浅草十二階凌雲閣 明治時代(19世紀) 長崎大学附属図書館蔵
現在ではスカイツリーが話題になっておりますが、およそ100年前には、浅草に建てられた12階建ての凌雲閣が、東京のシンボルとして人気を博しておりました。
残念ながら関東大震災で崩壊しまいましたが、写真にその姿が残されています。
『亜東印画輯』 日よけの広東 亜東印画協会 民国18年(1929)頃 東京国立博物館蔵
広東は孫文の故郷です。
日本は連日猛暑に見舞われておりますが、亜熱帯に属する広東は、夏季になると、街頭の商店は強い日差しを避けるために大簾をかけて日覆をしていました。
孫文と梅屋庄吉の関連資料とともに、およそ100年前の日本や中国の姿をお楽しみください。
カテゴリ:研究員のイチオシ、2011年度の特別展
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posted by 関紀子(特別展室) at 2011年08月24日 (水)