緊急開催!中国の至宝が大挙する、特別展「北京故宮博物院200選」
来週には師走、今年もあっという間に駆け抜けていってしまいそうです。
すでに心は来春の特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」(2012年3月20日(火・祝)~6月10日(日))
という方もいらっしゃるのではないでしょうか?私も楽しみですが…ちょっとお待ちください!
来年2012年は、トーハク140周年に加えて、日中国交40周年にもあたる年です。
そこで新年は特別展「北京故宮博物院200選」(1月2(月・休)~2月19日(日))で幕を開けます。
かつては皇帝の居城として紫禁城と呼ばれ、現在は180万件ものコレクション擁する故宮博物院。
故宮博物院・太和殿
本展では同院の選りすぐり200件を展示し、中国の至宝をご覧に入れます。
その約半数は国宝級です。(中国では一級文物と呼ばれています)
トーハクにも中国から渡ってきた名品が数多く収蔵されており、中国の文化や美術をご覧いただく機会も少なくありませんが、
本特別展は、なんといっても大帝国を築いた王朝、その頂点に君臨した皇帝の、「とっておき」が多く見られるのが特徴です。
大切に守られてきたがゆえに、私たち日本人がまだ知らない門外不出の品々。
それらをトーハクでご覧いただけます。もちろん日本初公開の作品も多数あります。
第Ⅰ部では
書画、陶磁器、青銅器、漆工、琺瑯(ほうろう)、染織などの名品がずらりと並びます。
躍動感のある文字が楽しい書や、
「草書諸上座帖巻(しょうしょしょじょうざじょうかん)」(部分) 黄庭堅(こうていけん) 北宋時代・元符2-3年(1099-1100)頃
墨の濃淡で繊細に描かれた絵画、
「水村図巻」(部分) 趙孟頫(ちょうもうふ) 元時代・大徳6年(1302)
皇帝のみが許された色と龍の模様で、中でも一張羅の朝服…
「明黄色彩雲金龍文緙絲朝袍(めいこうしょくさいうんきんりゅうもんこくしちょうほう)」清時代・嘉慶年間(1796-1820)頃
ほかにも、間近で直接見て、ディテールを確かめたいものばかりです。
第Ⅱ部では、少数派である満州族が、漢族ほか多民族を治めた清王朝の世界観を読み解きます。
皆様をナビゲートするのが、清王朝の最盛期を築いた第6代皇帝・乾隆帝(けんりゅうてい)です。
肖像画の作品としてさまざまな装いで登場しながら、朝廷や文化、宗教、国際交流などをご紹介します。
こちらは満州族の正装の時の格好です。(上の画像の朝服を着ています!)
「乾隆帝像」(部分) 清時代・18世紀
他にはどんな格好で登場するでしょうか?ぜひ乾隆帝の装いにもご注目ください。
名品に囲まれた肖像画を現存する作品で再現するという、ユニークな趣向のコーナーもあります。
「乾隆帝是一是二図(けんりゅうていこれいちこれにず)軸」(部分) 清時代・18世紀
この作品中の右側(赤い四角の部分)に描かれている丸いテーブル、この展示作品に似ていませんか?
「彩漆円卓(さいしょくえんたく)」 清時代・雍正8~13年(1730~1735)
作品の題名にもなっている「是一是二」とは、「私は1人?それとも2人?」という意味です。
確かに後ろに、同じ格好の肖像画がかかっているのも見えますが、タイトルの真意はいかに!?
まだまだご紹介したい、物語をもった作品がたくさんあります。
「深おもしろい」話は改めて、このブログでもご紹介いたしますのでお楽しみに。
トーハクの新年は、干支にちなんだ作品を展示する「東京国立博物館140周年記念 特集陳列 天翔ける龍」(2012年1月2日(月・休)~1月29日(日))、
人気作品が並ぶ「特別公開」などとともに、豪華に賑々しくスタートを飾れそうです。
来年が素晴らしい年となりますように、年明けは日中の至宝の競演をご覧いただければと思います。
ぜひ、新しいカレンダーやスケジュール帳にトーハクの印をご記入ください!
本展覧会にご尽力いただいた皆様に、心より感謝して(結)
カテゴリ:2011年度の特別展
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posted by 林素子(広報室) at 2011年11月25日 (金)
「あ、このお像は素晴らしいな」と心に響く仏像とそうでない像があります。
どちらも歴史的な遺品として大切であることは変わりませんが、彫刻作品として考えると、どうしても優劣ができてしまいます。
その差が生じる理由の一つは作家の技量です。優秀な作家がお金と時間をかければ素敵な作品ができるでしょう。
でもそれだけではないようです。
特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」(~2011年12月4日(日))に出品されている彫像2点を見て、そんなことを考えました。
浄土宗所蔵の阿弥陀如来立像。
この像を拝すると、心のわだかまりが消えて、すーっと澄み切った気分になります(個人差があります)。
重文 阿弥陀如来立像 鎌倉時代・建暦2年(1222) (浄土宗)
無量光如来という別名にふさわしい輝きを感じます。
きりっとした顔立ち、体の引き締まった肉付きとリズミカルに刻まれた衣の襞。
像の高さ1mほどの阿弥陀如来立像は繰り返し造られてきたものなのに、この1体はとてもいきいきしていて、新鮮です。
これは仏師の意気込みが違うのだと思います。
“たくさん注文があるなかの一体”、ではなく“特別な一体”だったのではないか。
法然上人の一周忌法要の本尊にするため、弟子の源智が造らせた像、とひとことで言えばそうですが、
源智の並みならぬ思いに仏師が心打たれた、あるいは仏師が法然をとても尊敬していたなど、さまざまな可能性が考えられます。
しかし仏師の名前も知られないのでそれをたどることはできません。
次はこちらのお像です。
性信坐像 鎌倉時代(13~14世紀) (群馬・宝福寺)
群馬・宝福寺の性信坐像。この像の体、着ている服はペタンとしていて、写実的ではありません。
衣を見ても布という感じがしませんね。からだについて言えば素朴な味わいの像です。
しかし、顔に力があります。大きく見開いた目、眉間に深く皺を刻み、厳しさが感じられる。
鼻筋が通り、くっきりと広がる小鼻、鼻の両脇から口端にかけての皺も深く二重に彫っています。
下唇が上唇より前に出る受け口。両頬にも縦に2つ皺を刻みます。非常に個性的な顔ですが、強い魂が宿っていると思います。
この像を造った仏師大進は、率直に言って高い技量を持っているとは言えません。
この性信像の体と頭部では冴えが全く違います。ではどうしてこんな顔を造れたか?
大進は性信を知っていた、そしてとても強い印象を持っていた。そう考えることもできるでしょう。
あるいは性信の生前に写したか?ところが、茨城の報恩寺にこの像より洗練された性信像があって、顔は似ていません。
とすると大進の心に残っていた性信の面影を再現したものと考えるべきかもしれません。
以上、お像を前にして勝手に空想したことです。
カテゴリ:研究員のイチオシ、2011年度の特別展
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posted by 浅見龍介(東洋室長) at 2011年11月24日 (木)
特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」(~2011年12月4日(日))はおかげさまで入場者10万人達成いたしました。
これまでご来場いただいたお客様に、心から感謝申し上げます。
さて、今回は展示のご紹介ではありません。
トーハクで堪能できるのは、美しい美術品だけではありません。
ご観覧の前や後、お食事やお茶を楽しむことのできるレストランで
特別展「法然と親鸞」、開催期間中だけ楽しむことのできる特別メニューのご紹介します。
東洋館別棟1階 ホテルオークラレストラン ゆりの木の期間限定セットメニューは3種類。
寒さが増すこれからの季節にぴったりのあったかメニューをご用意しております。
一番のおすすめは、今がまさに旬。大粒の広島県産カキのフライが堪能できる
「旬のカキフライ御膳」
鴨のスモーク、中華小鉢、茶碗蒸しなど、嬉しいサイドメニューが盛りだくさんのセットです。
御飯、味噌椀、香の物がついて2300円です。
新鮮で弾力のある鴨肉とほのかにただようネギの香りにお箸がすすみます。
あたたかいそばが寒い季節にピッタリの、
「鴨南蛮セット膳」
稲荷寿司と海苔巻もついて、ボリュームも満点です。
小鉢、香の物付で1,600円です。
ほくほくに温まった温野菜とやわらかく煮込んだお肉がジューシーな
「ビーフシチュー」
パン又はライス付で1,600円です。
そして、観覧後の楽しいおしゃべりのお供に、「秋」の庭園をイメージしたスイーツはいかがでしょうか。
紅葉したもみじをあしらって秋の庭園をモチーフに創った和風ケーキです。
「庭園」
和栗と北海道産小豆、もち米で作った抹茶味のスポンジの和の素材の組み合わせは、洋菓子にしても相性抜群です。
コーヒー又は紅茶付で950円です。
冷たい秋の風で吹き寄せられた紅葉や木の実。
そんな秋の風景に見立てた季節感満載の和菓子のセットです。
「吹き寄せ」
スイーツは全部で4種
柿餅 ・おぼろ栗 ・柿抹茶 ・松葉紅葉
緑茶付で950円です。
来場者が10万人を超えて、ますます盛り上がりを見せている特別展と
紅葉が進んで秋の風情が美しい庭園(~2011年12月11日(日)まで秋の庭園開放)とともに、
レストランゆりの木 特別メニューもお楽しみください!
カテゴリ:2011年度の特別展
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posted by 広報室Web担当 at 2011年11月20日 (日)
こんにちは、特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」(~2011年12月4日)の絵画担当研究員の瀬谷愛です。
毎日、たいへん多くの方々にご来館いただいております。
ありがとうございます。
今回は6週間の会期中に、4回も展示替があります(展示替のない週は最後の月曜日だけです)。
楽しみにされていたものが前期と後期に分かれていたり。
わたしもいつも、展覧会を見に行くと歯がゆい思いをしていますので、よくわかります。
本当はすべてをご覧いただきたいのですが・・・申し訳ございません。
ずっとポスター、看板の「顔」としてスタメン出場していただきました
国宝「早来迎(阿弥陀二十五菩薩来迎図)」(京都・知恩院)は、
11月15日(火)から国宝「山越阿弥陀図(やまごしあみだず)」(京都・禅林寺)に替わりました。
こんなに遠くからではみえませんね。
アップにしましょう。
国宝 山越阿弥陀図 鎌倉時代・13世紀 (京都・禅林寺)
中央に表される阿弥陀仏は、浄光明寺の阿弥陀三尊坐像と同じ、説法印を結んでいます。
説法印は、浄土で説法されているときの阿弥陀仏の手のかたち。
すなわちこの地が浄土である事を表します。
ふたこぶラクダの背中のような山の真ん中から、巨大な上半身を現す阿弥陀仏。
ぜひ想像力を豊かにしてご覧いただきたいところです。
後期には他にも面白いお品が登場します。
例えば、第2章「伝記絵にみる生涯」。
一番奥の壁付きケースに、当館所蔵の「法然聖人伝絵」が展示されています。
重文 法然聖人伝絵(九巻本、琳阿本) 巻第8 鎌倉時代・14世紀 東京国立博物館
流罪後、初めて入京を許された法然が、やがて体調を崩し、いよいよ入滅が近づいてきた場面です。
まわりの門弟たちは法然に、臨終行儀として阿弥陀如来像に結んだ五色の糸を手に取るよう勧めます。
しかし法然は、若いころに比叡山で観想の行を積んだためでしょうか、仏像の助けを借りなくとも、もう目の前に聖衆を感得していました。
重文 山越阿弥陀図屏風 鎌倉時代・13世紀 (京都・金戒光明寺)
前期展示の「山越阿弥陀図屏風」(京都・金戒光明寺)には、実際に五色の糸の破片が残っていました。
前期にみえた方はお気づきになりましたでしょうか。
仏像だけでなく、仏画にもこうして結ぶことがあったんですね。
絵巻に描かれた仏像はその大きさからみて、1メートル弱ほどの、いわゆる「三尺阿弥陀」のようです。
絵伝コーナーの次の部屋には、浄土宗ゆかりの三尺阿弥陀が3体並んでいます。
重文 阿弥陀如来立像 鎌倉時代・建暦2年(1222) (浄土宗)
手にご注目下さい。
その左手をみてみますと、親指と人差し指の結んだところが輪になっています。
仏像では、こうしたところに糸を結んだのかもしれません。
もうひとつ。
これは「絵画」で、というよりも、個人的な関心なのですが・・・
後期から、「恵信尼自筆書状類」(京都・西本願寺)が「恵信尼像」(京都・龍谷大学図書館)とともに登場しました。
恵信尼は、親鸞の妻です。
もともと仏教の戒律では僧侶は妻帯を禁じられています。
さまざまな悩みや苦しみを生み出す元だと考えられていたからでしょう。
たとえそれが「愛」あふれる関係であったとしても、
愛するものと別れる苦しみ「愛別離苦」(八苦のひとつ)はいつか必ずやってきます。
しかし親鸞は、妻をもっても、念仏を絶やさず極楽往生を目指す道を選びました。
この恵信尼の書状は、親鸞入滅後に娘の覚信尼に宛てて書かれたものです。
そのなかの5通目に、親鸞と恵信尼が交わした会話の想い出が記されています。
阿弥陀の本願を信じ、念仏だけを一心に称える行を選んだのに、
親鸞は重い病を得ると、夢うつつに『無量寿経』の一字一句がはっきりと目に浮かんでしまう。
経典を読んで自力で往生を目指そうとする心をどうしてもぬぐえない、心の弱さを妻に告白しているのです。
夫婦がともに往生を目指し、まっすぐに、お互いの弱さも受け止める
親鸞の家庭が垣間見える、素敵な遺品だと思います。
誕生寺
一方、法然は終生、家庭を持ちませんでした。
その家族といえるのは、幼い時に失い別れた父と母のみです。
こちらは岡山県久米郡久米南町にある誕生寺。
法然の旧居跡に、熊谷直実が建立したと伝えられるお寺です。
菩提寺
今回は、本展と同時期に岡山県立博物館で
「法然上人と岡山」(11月13日まで)という展覧会が開催されたため、
誕生寺ゆかりの名宝は上野には出品されていません。
こちらはぜひ、本山寺(子宝に恵まれなかった法然の両親が参詣した寺院)、菩提寺(法然が最初に身を寄せた天台宗寺院)とともにお訪ねください。
(レンタカーがおすすめです)
最後に、ご来場の前にお知らせしておきたい情報を2つ。
音声ガイドにあまりご興味のない方もいらっしゃると思いますが、
今回のガイドは目から鱗、というより涙です。
加賀美アナウンサーによる沁みるような語り。
そして赤い彗星・・・
会場解説にはない情報が満載の音声ガイドです。
ぜひお試しください。
音声ガイドを装着されましたら、
こちらの白い道の上を、会場内へお進みください。
赤いところは「怒りの炎」、青いところは「むさぼりの水」。
どちらにも落ちないように、その清らかな心を守って。
(「二河譬(たとえ話)」より)
次回は彫刻担当研究員よりみどころを紹介します。
お楽しみに。
カテゴリ:研究員のイチオシ、2011年度の特別展
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posted by 瀬谷愛(平常展調整室) at 2011年11月18日 (金)
特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」は、2011年11月17日(金)午後、10万人目のお客様をお迎えいたしました。
これまでご来場いただいたお客様に、心から感謝申し上げます。
10万人目のお客様は、オーストラリアからお越しのレベッカ・ザネッティさん(21歳)です。
東京国立博物館長 銭谷眞美より、展覧会図録と会場限定販売のベアブリックを贈呈いたしました。
右から、銭谷眞美館長、レベッカ・ザネッティさん
2011年11月17日(木) 東京国立博物館平成館にて
レベッカさんは学生時代にファッションを勉強されていたそうで、
「普段からアートに興味があります。この展覧会へは、日本美術を知るために来ました」とのこと。
レベッカさん、ありがとうございました。
特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」は、11月13日までの前期展示の作品が終了し15日より後期展示が始まっています。
後期に入って、展示室内の雰囲気が一気に変わりました。前期にご覧いただいた方も是非またお出かけください。
まだお越しいただいていない方、どうぞお見逃しなく。
特別展「法然と親鸞 ゆかりの名宝」は、2011年12月4日(日)まで開催しています。
カテゴリ:news、2011年度の特別展
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posted by 広報室員 at 2011年11月17日 (木)